詩【 招き寄せた夜 】




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詩【 招き寄せた夜 】



夕景になり始めた空は
ちぎれたような細い雲が
幾重にも重なっており
滲んだ色の隙間に
それぞれの思惑が見えている


あの重ねられた夕景の雲が
見えない街を隠すようにあり
隙間をぬって視線を放ったところで
見えはしないだろうけれども
確かにあるのだろう


次第に変わりゆく夕景の雲が
遠い見知らぬ街を隠すかのように
暗さを伴う色彩に移り変わる


見知らぬ街は
夕景の雲の滲んだ色彩の中へと
遠ざかる

隙間をぬって
西の空に覆い重なる夜の街が
こちら側で
ざわめく声と共に現れては
寒げな風が吹きつのる街の通りに


微かなオレンジ色を含む光の空が
ものも言わず滲んだ空をつくり
夜を呼び寄せる夕景の雲


滲んだ空の向こう側には
沈みかけた見知らぬ街が沈んでいく
夜を招く空が   私の視線の前で
返答することもない疑問を
投げかけてくる


私は返答することもない疑問を
投げかけられたまま夜に向かう


滲んだ空が夜を招いている



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# by kazeumi-jun | 2017-11-16 16:41 | | Trackback | Comments(0)

詩【 謎解きの夢 】




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詩【 謎解きの夢 】



笑った顔の白い仮面を付けた
人間が追いかける夢を見たけれど
あの白い仮面は誰だったのだろう


恐怖で揺れ惑い逃げる苦痛さの
片側にいたのは誰だったのだろう


笑う白い仮面が誰であったのか
逃げ惑う苦痛さに歪むのは
誰であったのか


白い仮面の人間は
その顔の向こうすらも
表情すらもなく白い仮面は笑う
形のない白い仮面は笑う
つくられた顔の中すらも
宇宙の中の見えない星の謎のように
真っ白な謎解きのまま


夢とは裏腹な視線では
宇宙の星の詳細なものは
見えないままだろう


まるで白い仮面は
遠くの見知らぬ星の謎解きの
答えを避けるかのような
笑った顔のまま動きすらない

目の奥は宇宙の暗さのまま
白い仮面は表情すらもなく笑う


表情のない笑う白い仮面の目は
全ての答えを避けるかのように


誰に向けられた目の奥があるのか
この体だけに追いかける歪んだ手が
伸びようとしているとき
夢の先で
窓ガラスの透明な風の手が
私を揺り起こしていた


追いかけられていたのは
誰であったのか
笑う白い仮面は誰であったのか
リアルさだけを残して
震えたままの体を残して
謎解きの夢が
リアルさの中で息をする


夢の中のリアルさだけが
意識の中に潜みながら
笑う白い仮面だけが
夢を見た時間の中で
浮き出されるように残され
垣間見る宇宙の仮面の一つの
幻想のように


夢の中のリアルさだけが
手づかみしたまま動き
笑う白い仮面の目は
宇宙の暗さの中の謎解き
あれは誰だったのだろう


謎解きのまま
窓ガラスの透明な風が
宇宙の中の夢から覚ますとき


気がつけば
秋の寒げな曇り空は広がり
車さへ行き交うリアルな時間の
一部を頭上から覗かせている


笑う白い仮面を付けた人間は
誰だったのだろう
謎解きの夢がリアルさの息をする


水面下に潜む周りの全てのものが
ひそやかに答えのない息をして
謎解きの夢がリアルさの息をする



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# by kazeumi-jun | 2017-11-14 14:22 | | Trackback | Comments(2)

詩【 風の視線 】




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詩【 風の視線 】



街路樹の樹々が早々と
緑葉が残るまま切り取られていく
それらを
行き交う風が素早くガラス越しに
吹き付けては拾い上げる


声すら持たない透明な表情の
風の視線は
どんな息を吹き付けて
葉色を眺めただろうか


無意識さに宿る視線を
行き交う人々は眺めることもなく
並んだ手順の仕草が
風の視線すらも気がつくこともなく
秋の真ん中あたりに
人々の手だけが動きをする


窓ガラス越しに見える街路樹の
微かな枯葉色には程遠い葉色が
遠のく私の意識を連れ去り
時間という日々を消え去っていく時
深まる秋からは離れた意識が
私を空白にしていく


窓ガラス越しに叩く陽射しが
私の意識を戻したときには
すでに
枯葉色には程遠い緑葉の
行方すらもなく

秋は時間という日々を流れては
変わりゆく街路樹の新たな声を
その場所で生み出していく姿が
確かさの中で眺める


私の無意識な時間の中で
いつしか消え去ってしまったことを
街路樹を行き交う風が知らせる


意識がなかった体は元に戻り
健康体の息を吹き返したとき
街路樹の新たな息づかいが
交換するかのように
そこにはあった


やっとベッドから起き上がった体を
街路樹の下へ向けたとき
秋から冬に移り変わろうとする
新たな息づかいの季節風の視線が
私に向けられた


私の意識を戻したのは
微かなガラス越しの陽射しが
窓を叩く風の視線だった


病いで倒れた無意識の私を
揺り起こしてくれたのは
微かに行き交う風の視線だった


この世に
私の体の命を生還させたのは
微かに行き交う風の視線だった

私は生きている風の視線の中で



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■ 病いで倒れ生還した後に書いた詩作品です。

【 風岬 和華 】
《 かぜみさき・かずはな 》















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# by kazeumi-jun | 2017-11-14 05:42 | | Trackback | Comments(0)

詩【 風のような人 】




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詩【 風のような人 】



まるで風のような一枚の淡い葉色を
そっと壊れぬように
両の手で息づかいをも潰さぬように
声をかけるけれども


いつも風のように離れては
季節の葉色をしたまま
その人は流れていくようで


西陽の当たる中を旬な色をして
こちら側では両の手で
一枚の葉色を壊さぬようにしても
風にまみれた空が誘うのか
行き先さえ分からず
舞い上がっては    どこぞへと


見つめる視線だけの両の手は
いつも置き去りにされるようで
離れていく一枚の風のような
その人は
いつも自由の    寂しげな風になり


触れぬと知りながらも
両の手で強風から遮るけれども
爽やかさの風は西陽とともに
また   ふらりと流れては消えて


見つめる視線だけの両の手は
いつも残されたまま    秋風の中に
無言のまま声を閉じ込める


また   貴方は何処へいくのだろう
見つめる視線だけの両の手は
心だけ置き去りにされたまま
悲しげな目の中で秋風は西陽に揺れ
楽しげな姿を見せて


追い求める私は
心だけ貴方を見つめる


手が届かない風のような人を


追い求める私は
貴方という風のような人を
いつも見つめている


微かに滴る秋の一滴が    私の頬を触る

置き去りになった一滴が
ひたすら寂しげに   私の頬を触る

貴方は相変わらず風になったままで



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# by kazeumi-jun | 2017-11-10 14:44 | | Trackback | Comments(0)




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詩【 無音に近い秋の風音 】



風音が止まったかのように
静けさだけが回りこみ
運び来るような匂いのする秋が
西陽の空を垣間見せている


何処へ行ってしまったのかと
探しあぐねても
風音は行方知れずのままで
秋の匂いと光の映像だけが
身体の周りを包み込みながら


それでも
微かな風音は運び来る
西陽の空を


微かな風音が訪れる
秋の美しさの中を色あせずに

微かに聞こえる風音の
優しげな色鮮やかな音が


無音に近い音を探しあぐねても
確かな秋の美しさは色あせず
音は遠き宙で輝きを放つ


私の体は確かに生きている

無音に近い秋の風音が
微かな音を聞かせて教える

それでも
微かに    人の声が聞こえる

行方知れずの音が
微かな風音で教える

私の体は確かに生きている


それが全ての答えだと
微かな風音は知らせてくる西陽の空



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人は生きているだけで
それだけで
明日という日に繋ぐ光はある
そう思います。

詩のとおり、難聴です。
左耳は全く聞こえません。
右耳すらも難聴ですが、微かな声や音は聞こえます。

元々が幼少期から両耳の難聴です。
現在では、左耳は全く聞こえません。
右耳は、微かに聞こえます。

ですが、ほとんど聞こえないはずの耳でも、片側の耳は微かな機能をします。
微かに、人の声や、風音すらも聞こえます。
普通に会話も出来ます。

人は生きているだけで
明日という日に繋ぐ光は
あるのだと、私は思います。

人は生きているだけで、それだけで、明日という日に繋ぐ光はあるのだと、私は思います。

私が感じ取ったことを、詩作品にいたしました。

【 風岬 和華 】














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# by kazeumi-jun | 2017-11-07 16:10 | | Trackback | Comments(2)