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物語詩【 不透明な隠れ家 】ショートストーリーとデザインアート写真作品_e0364312_02331542.jpg



🌹 物語詩 【 不透明な隠れ家 】
《  ショートストーリー  》

濁りのある布地の隙間から外れた朝の光が、まるで遮ろうとするものに突き刺さるような決意であるかのように、入り込んだ荷物の室内へと侵入しようとする

布地の外側である向こう側には隠そうとして、何もかもを不透明にしたがるものらの細い指が広げられてスクリーンの映し絵の邪魔をしたがる

映し絵した社会の片隅で秘かに細い路地裏あたりを見回すと、逃げ口実した影人たちが集まっては隙間だらけの建物に、荷物を移送しては隠そうとしていた

映し絵した社会は二重扉になっており、何処の場所からも路地裏に侵入が出来ることを知らない者らが慌てふためく

汚れた素通しの悪いガラスを、あたかも磨りガラスに仕立てたかのような場所へと逃げ込んだらしく、そこを鋭い視線でさりげなく触れて見ると、隠された一部分だけの欠片が光を残したかのようにして、微かに隙間だらけの窓側でざらついたままになっている

不透明にしたがるものらが集まっては隠そうとしている呟きが、隙間だらけの建物の中から微かに漏れ出していることすら知らずに、その場所を隠れ家にしていたのだろう
幾ら不透明にしようとしても、所詮は逃げ込んだ先で見つかるものさ
一体、君らは何を隠そうとして不透明にしたがるのかね?
意味のない会議のような雑談が、不透明にしたがるものらの言葉の端に、わかりやすく見え始めるとき

幾ら不透明に見つからぬようにしたところで、隠そうとした社会の隅々にまで、全てのものを隠すことは出来ないのだと、扉の隙間を開けて全てが曝け出された事実だけの声を告げると、不透明にしたがる影人たちが集まっている室内へ、繊細に記された文字の欠片の一部だけを投げ込む

露わになった不透明さがある、それらはきっと影人たちの隠し通したかった裏の顔であったのかもしれぬ
どちらでも良かったのだと告げる

『 影人らの、裏の顔だろうが、表の顔だろうが、そんなものはどちらでも良かったのだよ。』

その嘘偽りの不透明さにつきまとうナイフのような鋭い視線の先で、同じ室内にいた者らの、そのつど妙な形で見せる、その鋭い光を残した《 眼のナイフ 》が、この身体を刺すことがあるのさ
それでも必死になって隠したがることの不透明さが嫌であったのさ、君らにわかるはずはないだろうがね

そう述べると、やがてその二重扉を開けては、再び同じ場所へと戻っていく

静かに座り込んだ椅子に背中をもたれかかると、こちら側に呟くように、また独り言を話すかのような光景を見せる

『 不透明な光景の隠れ家とやらが、その後どうしたのかすら知らないがね。
不透明さが嫌いな者だって、この世の中には存在するさ。
無論のこと、その真逆も存在するがね。
この私かい? あはは〜
それでは聞くが、例えば、この世の中では同じ場所に住んだ者らが全て不透明なままで、全てを隠されて平気な人達ばかりなのかい?
そうだとしたら、この世の中の皆が似た顔の似た者ばかりになるだろうよ。
それじゃあ、寧ろ薄気味悪いがね。
私は不透明さ、嘘偽り、それが良いか悪いかを言っているわけではないさ。
また、正義とか悪とかなどを語るつもりなど全くないね。
要するにだ。
我々には誰であろうが、人間は好きか嫌いかの自由はあると思うがね。
違うかね?
私は不透明なままにされているのは大嫌いなだけさ。
共に一緒に住む連中に、全てを隠されて不透明さを当たり前にしてだ、嘘偽りばかりを言われるのは大嫌いなだけさ。
それだけなのさ。
誰にだって好きか嫌いかの自由は、人間ならば許されているはずだと思うがね。
この後始末かい? さあね。
そこの、真後ろにいる、不透明なままで嘘偽りだけが大好きな連中に聞いてくれ。
もっとも、不透明な隠れ家を失った連中が、それを返答するかどうかは知らないがね。あはは〜
まあ、私としてはだ、嘘偽りばかりを言っては不透明なままにしたがる影人らとは、この先までも我慢しながら共に暮らしたいとは思わないがね。
これでも、さんざんずっと我慢をし続けて来た60年間という人生が、私にはあるのだよ。
わかるかね?
既に年老いた私の一つだけの我儘くらい、最後に許されても良いと思うがね。
君らは若いね、まだまだ人生は長い。
私の年齢かい? あはは〜
まあ、70近い老人というところかね。
要するにだね。
今まで長い人生の間、ずっと砂を噛み締めるように我慢し続けた挙句、さらにまた、これからも我慢しながら生き続けていくのは嫌なのさ。
私の人生の最後に、一つぐらい我儘を言ってみたかったのさ。
嫌いなものは嫌い、好きなものは好きだとはっきりと言いきる我儘を通したかっただけだ。
私としては《 嫌なものは嫌だ 》と、人生の最後まで言いきってみたいのさ。それらを貫き通すのが必要なことも人生にはあるだろうよ。
まあ、とはいえ、人の考え方はそれぞれだからさ。人間は皆、十人十色だね。
好きか嫌いかの自由があるようにだ。
違うかね? 』

彼の話はゆっくりと語り終わると、そうしていつものように苦めの珈琲を飲んでは、やがてタバコの箱を手に持った。

濁りのある室内の壁に向かって、いつものようにタバコの煙を吹き付けると、どうしたものか薄茶色になった濁りの壁が、まるで返事をしたかのような光景で、コクリと頷いたかのようにタバコのシミが少し場所を移し替えていた。

それらを不自然とは思わず、さも当たり前のような顔をして、さらにタバコを吸い続けては窓硝子の向こう側に視線を向け始めている
気がつけば、映し絵したスクリーンだけが消えて、いつものような濁りのある布地だけが残っている

この場所自体が、既に不自然さをまとわりつかせているような光景で
やがて薄晴れした朝の光が、隣の室内へと移し変わっていく

居残る寒げな早春とやらの窓硝子の光景が、何処か遙か向こう側の外とは不自然なままにあった
かなり違和感のある、不自然に切り取られたようなガラス越しの先では、辺りの街路樹の景色だけが映っている
まるで切り取られた景色を、幾重にも繋ぎ合わせた画像であるかのように
果たしてこの場所は何処なのだろう?

もしかしたら気がつかなかったのは、最初からだったのかもしれぬ
全てに違和感のある窓硝子の向こう側の景色が、あきらかに周りとは色彩が違うまま当たり前のような光景で、そうして、謎のままにある室内の一角で

〜【 完了 】〜

物語詩【 不透明な隠れ家 】ショートストーリーとデザインアート写真作品_e0364312_02335141.jpg


🔴【  不透明な隠れ家  】
《  ショートストーリー  》

🟣 このブログ内におけるデザインアート作品は、私がデザインした作品集ですが、デザイン関連の名前は下記のとおりです。
詩集名とは全く別な名前になります。

【  月鏡画廊《 幻想館 》】ホームページ
💁‍♀️ ルシアン=マリア=バイオレット・ホワイトローズ

🔴⚠️ 私のデザインアート写真の作品は、全て無断転載、無断使用を一切お断りします。
ご了承ください。

💁‍♀️【  鏡乃 琴禰  】記

🌸【  デザイン関連名  】
【  ルシアン=マリア=バイオレット・ホワイトローズ  】


物語詩【 不透明な隠れ家 】ショートストーリーとデザインアート写真作品_e0364312_02461254.jpg







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# by kazeumi-jun | 2022-02-17 09:13 |

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💁‍♀️ 今回、このブログに載せましたのは、私が別な場所でおこなっているデザインアート写真集から四枚のデザインアートと、詩作品です。

🌹 デザインアート作品集
【 月鏡画廊《 幻想館 》 】ホームページ

💁‍♀️【 ルシアン=マリア=バイオレット・ホワイトローズ 】
【 詩作品のみの名前 / 鏡乃 琴禰 】

詩【 不透明な音 】詩作品とデザインアート写真_e0364312_22412740.jpg



【 不透明な音 】〜 意識の音が鳴る 〜

冬の厳しさ集う雪風と氷が張り付いた壁一面から
ちょうど何処からか不明の岩礫が飛び交い
見えない場所から突き刺さり、ふと振り向く時
パリンと音が聞こえて、心臓に突き刺さる
辺りでは見事なほど
不明なものが粉々に砕けていく

《  崩れ去った音の無い冬の氷柱が
     やがて、金属めいた光を放ち、
     心臓めがけて突き刺さっている  》

パリンと音が鳴り砕けたものは何処だろう

意識の無さだけが明かりの下で空欄を描く
文字入れの言葉だけが嘘の在処を示している
砕け散る硝子の音がパリンとする冬の夜

意識の傍らで、不明な音がして
聞こえないはずの砕けたものの在処すら
何処にも無いはずの絵図が、そのとき
意識の中では、確かにしたのだと言っている

あるはずのない氷柱が心臓めがけて突き刺さる
君はいつもいつも同じ嘘を繰り返している

冬の厳しさを知る者の汗が凍りつくとき
凍りついた破片が音鳴りをしたようで
意識の何処かで《  パリン  》
君がつく嘘はいつも氷柱のように突き刺さる
金属音の刃が鳴り響くかのように

確かに何処かで割れた音が響いたのだった
パリンと音が鳴り砕けたものは何処だろう

幾ら辺りを探しても見えない場所の、
意識という不透明で
見えない心の壊れた音が響いていたとは
それを、誰が知るのだろう

それを、君すら知りはしないだろうけれども
確かに傍らで《 パリン 》と粉々に砕けて響き渡る
それを、誰が知るのだろう

意識の中の心臓が凍りつき破壊されたかのように
確かに、そのとき何処かで、
不透明なままの意識が破壊されたかのように


確かに何処かで割れた音が響いたのだった
パリンと音が鳴り砕けたものは何処だろう


詩【 不透明な音 】詩作品とデザインアート写真_e0364312_22420422.jpg

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🔵【 作成日 】
【  2022年1月28日《 金曜日 》】

🔴 このブログ内にある【 幻想館デザインアート作品 】は、私がデザインアートした作品です。

⚠️ ブログ内における、私のデザインアート作品の無断転載、無断使用を一切お断りいたします。

🟣 なお、このデザインアート写真は【 月鏡画廊《 幻想館 》】ホームページに載せてある作品集になります。

なお、私はデザインアート写真をしております。
これらの作品はリアルな写真ではなくて、デザインアート作品としてご覧ください。

💁‍♀️【  鏡乃 琴禰  】
【 デザインアート名/ルシアン 】

詩【 不透明な音 】詩作品とデザインアート写真_e0364312_22555363.jpg

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# by kazeumi-jun | 2022-02-17 00:10 |


🔴 写真詩です。二作品あります。
これは短詩です。
🔴 写真詩のため、文字が小さくて読みにくい場合には、どうかパソコン画面や大きな画面で文字をお読みください。

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🌹 詩【  幻想水流  】二作品

詩【 幻想水流 】【 写真詩/短詩 】二作品_e0364312_09003899.jpg


詩【 幻想水流 】【 写真詩/短詩 】二作品_e0364312_09003954.jpg


🔴【 2021年4月2日 】作成

🌹【  詩人/鏡乃 琴禰  】

🌼 写真【 薔薇名/琴音《 ことね 》】
詩【 幻想水流 】【 写真詩/短詩 】二作品_e0364312_09105018.jpg







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# by kazeumi-jun | 2021-04-11 09:24 |

詩 【 路地裏の街灯 】

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詩 【 路地裏の街灯 】_e0364312_22560631.jpg



詩 【  路地裏の街灯  】


大通りを曲がると細い路地の道に侵入していき、ちょうどいい道の暗さを損なわないように街灯がほのかについている

その細い道の行き先が何処であるのかを、街灯の無言さが問いかけすらしないように幾重にも連なる路地をこえて、夜の真ん中を歩く

手繋ぎした貴方との人生の道がずっとあったように、その向こう側からは、さらに小さな灯りは続き、足元の音が連なりながら響くのを二人の意識には記憶されてゆくだろう

月すら見えない頭上を素知らぬふりをしては、大通りを曲がった路地の細い道にある灯りが、その先の方までも照らしていると思いながら

夜は過ぎていき、遙か向こうの通りを斜め視線で向けたとき、待ちわびた夜明けの空が微かな青さをして二人を出迎えるだろう

それは明日を描くときの道しるべのように、数メートルおきに街灯は照らしている

その向こう側では、いつかまた貴方と歩むときの街灯が夜明けを迎えるしぐさをするかのように


夜明けは細い路地の斜め頭上で
きっといつかはと思いながら
透明な貴方を想い浮かべる夜の真ん中

夜明けを待ちわびては街灯を眺める
表通りから離れた細い路地裏で
斜め目線で見上げる人生街灯



詩 【 路地裏の街灯 】_e0364312_22564477.jpg


【  作成日  】
【  2020年10月24日  】

【  作者名  】
【  詩人/鏡乃 琴禰  】


詩 【 路地裏の街灯 】_e0364312_23075785.jpg

詩 【 路地裏の街灯 】_e0364312_23075809.jpg





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# by kazeumi-jun | 2021-01-12 22:40

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詩/冬の日差し【 Instagram ルシアン 】から。_e0364312_22325184.jpg



詩【 冬の日差し 】



その日差しは隣の部屋の、南側に位置する窓硝子の向こうから差し込むようであり、細い日差しの束を描きながら柔らかな指先を持った太陽からの手触りのようで

さしずめ、床に当たる柔らかな太陽からの指先が撫でるしぐさをしていたように思い、何故かこの心の頭上を撫でられたようで目線だけがとどまる

そう、きっとその床は日差しの手触りで撫でられていて、心が満喫しては癒されているのだと

けれども、その日差しは我がベッドには当たらず、ずっと寝たままでいるしかない体が、ほんの少しだけ居心地良さげにするので、只管、目線だけを向ける

その日差しが当たる中には
私の体は無かった
けれども
柔らかな日差しの指先が
まるで我が心を撫でるような
気さえして
ほんの一瞬、柔らかな指に
フワリと撫でられたようで
見ていた時の光景が心に響く

ああ、いつだって変わらずに
冬の日差しは優しくて
柔らかな指先を持っている

まるで温かな両手で抱きしめられたような居心地良さがあり、ちょうど寒げな心すらもフワリと包み込んでは、凍える声も凍える心すらも全てが両手で抱きしめられたようで、ほんの一瞬だけ笑みが浮かぶとき

いつだって
冬の日差しは優しく
その両手で包み込んでは
ほんのいっときの
優しげな指先を与えるしぐさで

冬の日差しは
まるで、人の両手のように
心を撫でては包み込むしぐさをして
変わらないままにある

凍える声も心も
いつだって冬の日差しは
優しく、その姿をして

ただ、部屋の片隅に当たっただけの冬の日差しであるのに、あまりにも優しげに温かく包み込むようなしぐさが、少し羨ましく思う、その冬の日差しが当たる床に

私の心の頭上と体にも欲しいと思うのは、その冬の日差しの指先が優しく抱きしめるしぐさをしていたからだろう

凍える声も凍える心すらも
全てを抱きしめる冬の日差しよ


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ルシアン/作
【  鏡乃 琴禰《 樹霧 》 】
作成日【 2020年12月6日 】





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# by kazeumi-jun | 2021-01-12 22:30