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④ 詩集【 肌の記憶 】

④ 詩集【 肌の記憶 】
2019年7月2日《 火 》
真夜中1時30分

詩【 薔薇の記憶 】
~ 2019年7月2日《 火 》

艶色の薔薇の中に、貴方の面影が浮き出ては無言のままでいる

写真は動きすらありはしない
私は薔薇の艶肌に心を重ねる

艶色の薔薇の記憶が貴方の面影を残して私の胸に宿り、幾重にも体内を駆け巡り、そのつどに声を拾い集めていくようで、ひたすら薔薇の記憶を抱きしめる

声にはならぬ声の欠片が暴れまわり、体内で動くので、抱きしめた両腕から溢れてしまった声が切なさに囁くとき

いくら薔薇の記憶を抱きしめても溢れていく声はあり過ぎて、とどまることすら知らず、体内を潤い水が流れては声にならない切なさの想いとなって

其れらの薔薇の記憶はこう云うのだ
『 貴方に逢いたい、逢いたい 』と

薔薇はさらに告げる
『 貴方の、その両腕で抱きしめて 』と





【 詩作品の日付と時間 】
2019年7月2日《 火 》1時30分

作者/鏡乃 琴禰





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# by kazeumi-jun | 2019-12-19 01:35

③ 詩集【 肌の記憶 】

③ 詩集【 肌の記憶 】
詩【 肌の記憶 】7月1日18時
~ 2019年7月1日《 月 》18時

蒸し暑い室内を取り払うように窓を開け放つと、それまでのどんよりしていた空気が梅雨空の冷ややかな風と手を繋ぐように、ひと息つきながら辺りを回り込む

曇り空から放つ冷ややかな風は雨が止んだ中間で、街は暗さを伴う夕景の中に街路樹が放つ葉先と人が混ざり込んで

蒸し暑い腕の肌が露出されたままの私に、梅雨空らしい風が手触りしていく

居心地良さげな風が身体をひと回りしては幾度も手触りするから、冷えてきた肌が夏を忘れる

涼しげの夏は遠い昔の何処ぞにあったようで、肌が記憶している
あり得ない夏の蒸し暑さだけが、毎年のように繰り返されて、気がつけば夏が嫌いになっていた

冷ややかな風が行き交う夏は遠いところで忘れたように

人と自然との境界線の真ん中に立つ街路樹の葉が、遠い目をして

窓を開け放つと梅雨空の冷ややかな風が行き交う真ん中あたりで、露出した肌が居心地良さげに風を受ける

いつから私は夏が嫌いになったのだろう

何処ぞの涼しげな風が樹々の間を通り抜けていくような、そんな夏を恋しがる

私は夏が好きだったのだと
涼しげな風が樹々を通り抜ける夏が
この露出した肌が記憶する夏を





【 詩作品の日付と時間 】
夕方・2019年7月1日《 月 》
18時



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# by kazeumi-jun | 2019-12-19 01:32

① 詩集【 肌の記憶 】

① 詩集【 肌の記憶 】
詩【 街路樹の朝 】7月1日・真夜中
~ 2019年7月1日《 月 》~

室内での真夜中は、私にとってほぼ無音状態になり、時空間か異次元世界の扉が開かれるようなものだ

透明な壁の向こう側にあるはずの街路樹は、真夜中に行き交う音鳴りで眠るたびに起こされているのだろうか

遠くから聞こえる雑音が、矢のように流れては合図のように、人ではない君らの眠る時間はお祭りと化して、頭上を遮る風送りの時計が過ぎていく

私はといえば、この拾えぬ聴力の真夜中が室内を移動もせず、静けさが身にまとわりつく

音のない異次元世界にとっては、この真夜中あたりはちょうど良いのだろう

それでも体とは裏腹に、眠りにつけぬ意識が、人ではない君ら街路樹の目覚めている葉先を拾おうとして、残りわずかにある微かな聴力を集めている

真夜中あたりの街路樹が、私の眠りを即すように静かな異次元世界へと送り込む

やがて朝になり、街路樹の青葉が野鳥の休憩所を作り始めて、葉先は鳥の羽根を案内することだろうか

その時の朝一番に、私は目覚めるだろう

残りわずかにある聴力が、君らの葉先と野鳥の囀りを拾い集めては朝に目覚める

君らの葉先と野鳥が嬉しげに手触りする朝一番の中で、まだ街が眠る朝焼けを垣間見て、動き始めた光を目に映し、君らに秘かな挨拶を交わすだろう

街が起き始める前に




上記【 詩作品の日付と時間 】
真夜中・3時25分/7月1日《 月 》

写真撮影/鏡乃 琴禰


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② 詩集【 肌の記憶 】
詩【 休憩中の空看板 】
~ 2019年7月1日《 月 》朝8時

珍しく朝の鳥の囀りが聞こえず、窓際にかかる布地の隙間からは梅雨空らしい分厚い雲があり、微かに朝の光が街を覆っているらしい

街路樹から離れたような遠くで、微かに小さな囀りが届く

街は既に起きており、異次元世界の向こう側では朝の動きはしているのだろう

行き交う街路樹の通りは、日常風景を当たり前のように青葉の横で映し込みながら、人と自然との境界線の真ん中で佇んでは無言さを装う

この一室だけは異次元世界の真ん中あたりにあるようで、まだ閉ざした窓の布地をそのままにする

街路樹の根元に育った草花が、梅雨空の滴りを受けるつどに、街路樹の葉先は大きくなり細い枝は伸びてゆく

降りそうで降らない雨が異様なくらい無言さを装うから、少し蒸し暑さを含む室内が暗すぎて、東の空の朝焼けを欲しがるけれども、休憩中の空は素知らぬ顔のままで朝を迎えている

休憩中の空から降る滴りは、いつぞやの青葉が溢れた空の記憶を思い起こさせて、降りそうで降らない雨の行方を見つめては休憩が終わるのを待って

今日も休憩中につき鮮やかな紅頬の空はお休みですとの看板が、朝焼け空に張り出されているらしい





上記【 詩作品の日付と時間 】
朝・8時/7月1日《 月 》

写真撮影/鏡乃 琴禰





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# by kazeumi-jun | 2019-12-19 01:22

ラスト*物語【 境界線の町 】《 踏切 》④
~~ 非公開メモにて。~~

ラスト*ストーリーカフェテラス

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境界線の町の一角から全ての音も、ざわめきらしい光景も消えている。
稀に境界線の町から通り抜けようとする、微かな遠い雑音の車が過ぎて行く。

冬の12月末には、閉ざされた匂いが辺りを充満して真夜中を切り裂いて行くだけだと、私は知り抜いている。

その一角に居残る、この《 侵入者 》は、さらに閉ざされている六畳の四角い箱の中で、体ひとつ住まうだけのベッドに、それこそ錆びた鎖が透明な形で巻きつかれているかのようにいる。

錆びた鎖に繋がれている体の中では、どんよりとした煙が流れて、既に死へのカウントダウンを放つかのような爆弾が、眼を背けることもなく睨む。

境界線の外側の遥か向こうでは、人の世の常のように煌びやかなざわめきが騒音の中で、町から町へと向かい重なり合っていることだろう。

小さな冷たさ滲む画面の中では、さも美しい綺麗な言葉がイミテーションの飾り付けをして、ニセモノが氾濫する。
お互いのイミテーションの飾り付けを披露する声語りが連なる、それらの中で思惑を秘めてはお互いに着飾りながら、言葉の肌と肌を重ね合わせて。

すると、誰かは告げることだろう。
人の世では、もはや町の流れも、人の心すらも移り変わるのは世の常とするのだと告げて。
常駐するのは裏切りの飾り付けと、甘い偽物のケーキが幾つもあり、それらは全て常駐するのが当たり前なのだと言うことだろうか。

視線を外した者が世離れする変わり果てた姿だというならば、この境界線の町の一角に住まう侵入者は置き去りにして当然だということだろうか。

鈍い色合いの錆びた鎖が体の中で暴れまわり、身動きすらも許さぬと告げる。
眼を覚ました《 爆弾 》が、錆びた鎖をさらに絡みつくとき。

鈍い色合いのものが死の影を連れて来ては、冷めた目つきをして睨んでいる。

おそらく、この境界線の町の一角にある体ひとつだけのベッドから解き放たれ自由になるときは、幻の花を愛でて透明な旅人となる時だろう。
死の影が、爆弾をさらに体に押し付けている。

この心臓には既に爆弾が仕込まれ、さらには頭の脳にまで近づくべく、血流までも爆弾が仕込まれたままにある。

境界線の町の一角に住まう《 侵入者 》には、爆弾を取り除くことが許されない環境のまま、ひたすら錆びた鎖で《 幻想の花 》が咲く瞬間を待っているだけという、もはや、自由などとは無縁な世離れする変わり果てた人なのだろう。

あからさまに、私の死の影を待つ人の姿を、時折、横目で見ては素知らぬふりで、ボロボロなベッドに絡みつく鎖をジャラジャラと鳴らしながら、かろうじて息をする。

冷たさ滲む画面の中で、それらの人々が、美しい綺麗な言葉をいくたびも重ね合わせては、誰かと誰かが笑い合う。
裏腹な言葉を隠したままに。

人の世は綺麗なイミテーション偽物の飾り付けをしては、美しさを競い合いながら、艶やかさを誇る。

それらを横目で見ては、我が身の意識だけが遠き地に向かって、咲きもしない桜並木を幻想絵図に浮かべる。

一輪の草花のままで逝くとしようか。

艶やかなイミテーション偽物の飾り付けなど捨てたまま、一輪の草花のままで我が身は逝くとしようか。

遠き地の咲かない桜の幻の花を思い浮かべて、透明な旅人となって。

一輪の草花のままで我が身は逝くとしようか。

鈍い色合いの錆びた鎖が、さらに爆弾を体の中に押し付けてくる冬の日。
傍らでは境界線の町の人々が、ざわめきながら消えていく真夜中あたり。

私は独り、この繋がれた鎖を引きずりながら、六畳のベッドに縛られている。

やはり、私は独りだった。
誰の視線もない部屋の片隅にいる。

【 完了 】

【 作成日 】
【 2018年12月30日《 日 》】

ロザリナ*ルシアン
鏡乃 琴禰





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# by kazeumi-jun | 2019-12-15 16:00

🌹【 冬の物語 】

🌹【 冬の物語 】



【 冬の物語 】

冬の色彩を奏でたような寒さ滲む曇り空が、窓向こうに広がる。

一瞬だけの窓硝子のつもりで開けたはずの肌寒さが、今までとは違う澄んだ冬の空気が肌を透き通して、ほんの少し開いた口元から染み渡るように滲む澄んだ空気感が、其れまでの溜まった濁り息とが、ほどよく中和されたかのように体内へと流れ込む。

其れまでの街路樹の通りにはありがちな車の吐き出す見えない濁り息が枯葉と重なり、どちらとも言えない苦しげな空気感を体内に取り込んでいるような、言わば街中では当たり前な空気感だった。

なんの濁り息すらない、若干、冷たさを含んだ冬の澄んだ空気が冬の木々の隙間を通り抜けて、体内へと侵入している。

なんという心地良さであるのかと、何処か懐かしいような、其れでいてやっと体内に取り込めた事を喜びたいような、肌細胞と体内にあるはずの臓器と喉が旬な冬の空気を吸っていた。

冬の冷たさ含む若干の凍える水分と、凍えるような程の空気が、木々の微かな匂いだけを連れて来たようで居心地良さをほんの少しだけ味わう。

弱りかけた心臓が微かな痛みを伴いながらもあるけれど、長い歳月の向こう側にあったはずの【 記憶の森 】の空気に似ていたようで、かつて傍らに居たはずの愛しき想い人を取り込んだ切なさ滲む意識だけが、冬の澄んだ息を懐かしむ。

其の傍らでは関東や東京でも初雪になりそうだという知らせが届き、少し離れた山の向こうでは冬の雪景色が見られたようである。

弱りかけた心臓病が息を吐き出しては辛そうに飲み込む傍らで、我が意識だけが冬の澄んだ空気感を体内へ取り入れた冬景色がある12月に。

其れらを眺めるかのように、首まわりの肌一枚が冷える体温に居心地良さを味わうのか、冷え切った身体を労わろうとするのか、どちらともつかぬ想いを抱えたまま通り抜ける風を受けていた。

懐かしい記憶の森の空気感が、街路樹を吹き抜ける冷たさ滲む空気感とが重なり合い、声なき無言の切なき想いを含んだままの澄んだ会話を始めた冬の物語。


詩【 冬の物語《 伝言 》】

映し絵にはならなそうな程の
夜の絵図が真冬の寒さを連れて来て
かじかむ指先の滲む滴りが
二枚重ねにした森の空気感を
匂わせている

逢えない絵図が冬の澄んだ息を
連れて来るのか
其れとも慰められた言葉の先で
消えそうな森の空気感が
時空を超えては来ようとするのか

心だけには
懐かしき一枚絵図だけを抱いては
握りしめた冬の澄んだ冷たさの
かじかむ指先に凍りついた心氷柱が
いつか溶け出して
澄んだ息を吐き出して一滴と流すのか

雪が消してしまわぬうちに
描いた言葉と溜め込んだ声が
傍らにいた森の《 愛しき想い人 》へ
届くようにと澄んだ空気を吸い込む

願わくば、どうか
雪が降る前に
雪が消してしまわぬうちに

そんな冬の澄んだ空気感が
あまりにせつなくて
微かな望みを託した冬の《 伝言 》

せめて願わくば
雪が降る前に
どうか、雪が消してしまわぬうちに
微かな望みを託している冬の物語


【 了 】



【 作成日 】
【 2019年12月6日《 金 》】

【 詩人/鏡乃 琴禰 】misako










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# by kazeumi-jun | 2019-12-10 03:38