詩【 つゆ草の涙 】




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詩【 つゆ草の涙 】



つゆ草から一滴の雫が流れた朝
朝露にまぎれて
つゆ草の葉が重なり合い
行き先を隠してしまう大地に


つゆ草の小さな
つぶらな瞳から流れたとは
誰もが気づかないままで
見えない大地に隠されて


声は聞こえぬ草花の滴りの
張り裂けそうな想いを
誰が知るだろう


流れ落とされる雫の切なさを
重なり合った葉先と葉先が
朝露に混ぜてしまおうとして
雨の滴りなのか
居残った朝露の滴りなのか
それすらも
気づかれないままで


一滴一滴と流した雫が
隠された大地に吸い取られたのか
それとも
ひっそりと咲きほこる草花の
何処かで閉ざされたのか


朝露にまぎれてしまった
つゆ草の流した雫の切なさを
見ていたのは
朝の光だけなのだろう


朝露にまぎれてしまった
つゆ草の流した雫の悲しみとが
重なり合い
いつしか小さな青い花びらから
それらが海の色になっていくとは
誰が知るのだろう


つゆ草の流した滴りを
私は眺めている
そう呟くだけの声が
つゆ草に届くならば


つゆ草よ
君の滴る悲しみの雫を
せめて
この両手で受け止めてあげよう


つゆ草の流した涙が
行き先不明とならぬように
ならぬように














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by kazeumi-jun | 2017-05-09 05:44 | | Trackback