詩【 茜色の空に声が舞う 】




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詩【 茜色の空に声が舞う 】



茜色の空に心を映すとき
声すらなき声が空に舞う


帰る場所
帰れる場所
愛される人がいる場所
心が戻れる居場所の家
愛された証の故郷


当たり前の言葉が夕暮れの
茜さす空に浮かび上がり
紅き夕陽の中へと
人それぞれに戻りゆく


帰れる場所も
帰る場所も 帰る故郷の居場所も
愛される人がいる居場所も
生まれたときから消えたまま
持てなかった


紅き夕陽を望みながら
遥か遠くの街並みを眺めては
夕暮れの空だけを見つめて
星々の光を待ちながら
座り込んだ草の上で


そんな
かつての少女が
茜色の空に浮かび上がり
無言の絵図を映し出すとき


愛されない哀しみと
帰る場所を持たない淋しさとが
交差しては夕暮れの空を
心に映し出してゆく


忘れていたはずの
忘れていたかったはずの
夕暮れの時間は
どこか心の奥に入りたがる


見ないふりをして
見なかったふりをして
茜色の空に浮かぶ声を
かき消すけれども
満たされなかった心だけが
今の我が身をつくってしまう


帰る場所も 帰れる場所も
心が戻れる故郷の家と場所も
ありえなかった現実の中で


だからだろうか
いつの日も
ひたすら愛していたかった
ひたすら愛されたかった


ひたすら
ひとりだけの姿が
夕暮れの空の中でしがみつく


忘れていたかった
忘れていようと思っていた


『 生まれつき天涯孤独 』という
私にとっては当たり前の言葉を


そんな当たり前という言葉が
普通は当たり前ではなく
誰かに愛されたかったという心が
誰もいない茜さす空の光景に
浮かび上がる切なさ


忘れていたかった
忘れていようと思っていた
素知らぬふりをしたまま


今の夕暮れの色彩にある光景と
愛されないまま終わろうとする
そんな切なさとが
かつての少女時代の時間を
引き戻していく


重なり合ってしまった今の
切なさと
かつての少女とが交差しながら
再び記憶を重ねていく
切なさに


忘れていたかった
忘れていようと思っていた
生まれた時間からの切なさを


重なり合う茜色の空が
哀しみを引き出していこうとして
声をかき消そうとする


忘れていたかった
忘れていようと思っていた
素知らぬふりをしたままで


だからこそ
いつの日も
いつのときも
ひたすら 愛していたかった
ひたすら 愛されたかった


そんな哀しき切なさが
ひとり 茜色の空に声が舞う


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by kazeumi-jun | 2017-05-11 00:00 | | Trackback