2017年 05月 11日
【 主題のない言葉の綴り ① 】
【 主題のない言葉の綴り ① 】
五月の朝
長い夢から覚めるように
朝はあり眠りから覚めたときに
風なき夏近い光景が見える空
現実の中で生きている
現実はそう五月の中
気がつけば現実の中
時の針は動く
いつもの 時の針
*****
晴れている青空を遮るように
夏近い雲が少しずつ
移り変わる
微かに揺れ動く窓の外側に
風を見る午後
開け放った窓から
風鈴の音色が微かな声を奏でる
冷たい缶コーヒーを片手に
散歩しようかとも思えども
至って
我が身の心臓が下降気味
我が身の 心臓よ
まだ 時の命を止めるなよ
普通なら せっせと病院通い
普通なら 入院と手術
だろうけれども
入院できるほど
ありがたい家族はなし
生まれつき天涯孤独の主じゃあ
そうはいかぬが現実か
*****
いつまで生きる事ができるのかと
風鈴の音色に問いても
無言で鳴り響く今年初の音
生きるさ
生きられるだけ生きるさ
最期の時を刻むまで
現実の中に身を置く
気がつけば
五月の空は曇りと青空の真ん中
消えそうな音色を奏でては
風鈴が鳴る
風が通り抜けていかないんだね
明日も 明後日も
現実の中の風景を見ながら
生きるさ
生きられるだけ生きるさ
最期の時を刻むまで
そのときには一編の詩が
この世に残ることだろう
我が身の代わりに
誰かのために一編の詩を
描いているわけでなし
誰に読まれずとも描き続ける
我が最後の一編の詩を描くため
最後の最後に
完成された一編の詩を
我が詩人としての一編の詩を
*****
人が亡くなったら
風になれるのかしら?
風になれば
どこまでもいける
そう思いながら眺める
五月の風
できれば
土の中ではなく
この空を吹き渡る風がいい
いつか この空の中で
我が魂が風となり飛ぶように
ひとり空を見上げる五月の空
現実という中で
by kazeumi-jun
| 2017-05-11 15:11
| 詩