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【 主題のない言葉の綴り ① 】




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【 主題のない言葉の綴り ① 】



五月の朝
長い夢から覚めるように
朝はあり眠りから覚めたときに
風なき夏近い光景が見える空

現実の中で生きている
現実はそう五月の中

気がつけば現実の中
時の針は動く
いつもの 時の針


*****


晴れている青空を遮るように
夏近い雲が少しずつ
移り変わる

微かに揺れ動く窓の外側に
風を見る午後

開け放った窓から
風鈴の音色が微かな声を奏でる

冷たい缶コーヒーを片手に
散歩しようかとも思えども

至って
我が身の心臓が下降気味

我が身の 心臓よ
まだ 時の命を止めるなよ

普通なら せっせと病院通い
普通なら 入院と手術
だろうけれども

入院できるほど
ありがたい家族はなし
生まれつき天涯孤独の主じゃあ
そうはいかぬが現実か


*****


いつまで生きる事ができるのかと
風鈴の音色に問いても
無言で鳴り響く今年初の音

生きるさ
生きられるだけ生きるさ
最期の時を刻むまで


現実の中に身を置く
気がつけば
五月の空は曇りと青空の真ん中

消えそうな音色を奏でては
風鈴が鳴る

風が通り抜けていかないんだね

明日も 明後日も
現実の中の風景を見ながら

生きるさ
生きられるだけ生きるさ

最期の時を刻むまで

そのときには一編の詩が
この世に残ることだろう
我が身の代わりに

誰かのために一編の詩を
描いているわけでなし


誰に読まれずとも描き続ける
我が最後の一編の詩を描くため


最後の最後に
完成された一編の詩を

我が詩人としての一編の詩を


*****


人が亡くなったら
風になれるのかしら?

風になれば
どこまでもいける

そう思いながら眺める
五月の風

できれば
土の中ではなく
この空を吹き渡る風がいい

いつか この空の中で
我が魂が風となり飛ぶように


ひとり空を見上げる五月の空
現実という中で


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by kazeumi-jun | 2017-05-11 15:11 |