詩【 愛しき者の影 】




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詩【 愛しき者の影 】



ひと休みした雨の雲が
分厚く広がる傍らで
木々は頭上で色づきを変えて


草むらの生い茂る夏の終わりに
微かに黄色い葉先へ向かう頃
行き交い始めたトンボが
数多の光景を見せ始める


慣れているはずの夏の行き先すら
追い求める風の行方に
誰を想ひ浮かべるのだろう


小鳥がついばむはずの紅い実が
微かな紅色に染まりては
その嘴へと運ぶのは
近いうちなのだろうかと


木々の想ひが紅い実に宿り
小鳥への贈り物とは
小鳥すらも知らねども
ついばむ嘴を眺めつつ
色づいた葉先は笑い揺れて
風の中で愛を語る


愛しき者の影は
そこかしこにあれども
移り変わりし季節への時が
透明なままで告げる


小鳥すらも紅い実についばむ嘴を
季節からの贈り物に


視線を放つ紅い実に
誰を重ねているのかさへ
口にはせねども
紅色に染まりゆく先で
愛しき者への頬色は映し絵よりも
紅き色づき加減があるかもしれぬ


伝わることはなきと知れども


慣れているはずの1人の夏が
幾度となく繰り返せども
体半分のどこかで
愛しき者の影を捜し求める


視線を放つ空に 素知らぬふりで
夏の終わりの時を彷徨いつつ
トンボは飛び交い
その片隅にて
透明なままの滴りを生む


愛しき者の影はそこかしこに
浮かびながら
夏風の終わりを告げて


逢えぬと思えども
伝わることなきと思えども
紅い実の微かな紅色の色づきに
想ふ儚き願いを見る


愛しき者の影よ
声なき紅い実の紅色に想ひを
逢えぬはずの透明な手紙ぞ
差し向けて


誰とは語らねども
誰とは言えぬけれども


愛しき者の影よ
声なき紅い実の紅色に想ひを
逢えぬはずの透明な手紙ぞ
差し向けて


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★ 今回の詩作品に載せた画像二枚は、私が撮影したものであり、ブログ内の詩作品と共に写真の無断転載、無断複製、無断借用を一切お断りいたします。














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by kazeumi-jun | 2017-08-18 13:55 | | Trackback