詩【 コオロギの声は聞こえる 】




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詩【 コオロギの声は聞こえる 】



夜の穏やかな静けさに染まりながら
全てに同化するかのように
コオロギの声が鳴く


ほとんど消えた車の音でさえ
街路樹の通りよりも
遥か遠くの何処かで
静けさを壊さぬように流れて


そこまで来ているんだろう


かすかに浮かびくる秋の枯葉が
色づく街路樹の通りに
人並みは歩き始めるだろうことを

落ち始めた枯葉を手に取り
舞い上げるのを思い出しては


そっと笑みを浮かべつつ
そこまで来ている歩道の姿が
浮かんでは消える


かすかにコオロギは鳴く
夜の穏やかな静けさと
染まりあいながら


季節が終わる哀愁よりも
コオロギの声が連れてくる
新しき季節の移り変わりに
先走りながら心は笑みを浮かべて


終わりを告げる季節よりも
新しい季節の繊細さが呼ぶようで
すでに心が飛び越していくのは
私だけなのだろうか


夏の終わりは寂しきと
誰かが語る横を眺めては
不思議そうな心を浮かべる私は


夏の終わりに寂しさを重ねる人々の
哀愁を寄せる声をすり抜けていく

少しずつ移り変わる色づきを
秘かに見つけては
風の中で時の針を探し出す私は


終わりよりも 新たな風の行方の
時の針が気になり心は浮き出して
きっと身体よりも
心は早く歩いているんだろう


時の針に泳ぐ風が
秘かに呼ぶようで
ひとり笑みを浮かべる


嬉しきとコオロギは鳴く
夜の穏やかな静けさに
染まりあいながら
今夜の時だけを見つめる


コオロギは人々の傍らで
かすかな秋風を呼ぶべく
嬉しきと鳴き始める


風の中で時の針は
ゆっくりと静けさを保ちながら
過ぎる季節の繊細さを
小さな呟きのように教えながら


今夜もコオロギは鳴く
嬉しきと時の針を見つめては


コオロギの声は聞こえる
新たな風の行方を教えながら


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by kazeumi-jun | 2017-08-23 02:38 | | Trackback