詩【 風送り 】




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詩【 風送り 】



二年前の桜が満開になった頃に
花びらを受けたまま沈んだ意識は
ゆっくり魂の花となり
大地に戻りながら
桜の咲き誇りを見たのだろうか


春になったばかりの山里は
桜すらも遅咲きであっただろう


桜が満開になるときの
咲き誇りを見て何を思い
透明な姿となっただろう


ある桜の咲き誇りを見るたびに
忘れていたいものが吹き出し
花びらは宙へと舞い上がるのを
風送りのように眺めている


あの日の声は無言のまま
閉ざした行方すらわからず
言葉にはせずにいたのだと


今なお何故か
逝く人の影が桜の花びらに
風送りされるようで


遺された後の人影の
絞り出すような悲鳴にも似た
ひと言が風送りの中で聞こえる


何を言いたかったのだろう
こちら側の私は


何を言いたかったのだろう
あちら側の人々は


全てをかかえたまま
桜の花びらに風送りされた日の
長い一日が無言のままで
声は無くしたままで
滴りすらないままで


長い一日の風送りを
宙へと流しては
言葉は綴ることすらなく


また歳月は繰り返され
四季は周りくねり
魂の花と化した風送りを
見上げるのだろう


葉桜の木の下で
逝く人と 遺された人々の
風送りを垣間見ることがある


すでに桜の木は散りゆきて
葉桜すらも風送りをするような
季節に近いと桜の木は言うけれど


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by kazeumi-jun | 2017-08-24 20:08 | | Trackback