【 赤とんぼの飛ぶ光景 】




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【 赤とんぼの飛ぶ光景 】

赤とんぼを川沿いの道で見かけた時、偶然にも赤とんぼの写真を眺める。

真白い記憶の中の、煌めく美しい姿が浮かび上がる。
一面の金色に輝く稲穂の上を、数多な赤とんぼが飛んでいた光景。

小さな光景だけれども、その瞬間だけは穏やかな時間が流れていたのだと。

願っていたのは、何だっただろう。

地上の小さな片隅で、時が穏やかに過ぎて、自然を眺めながら穏やかに暮らせることができれば、それでいいと願っていたのだと。

穏やかに暮らせることを願うことが、あまりに小さな夢すぎると言うけれど、何故に人は艶やかさだけが夢の行き先だと決めつけるのか。

人には人の生きる道があるように、穏やかな時間を過ごしていくことを願うのも、また人生だろう。

艶やかに生きたいわけではない。
私は小さな場所で、小さな時間の流れの中で穏やかに暮らせることができればいいのだと、何故だか、ずっと昔から願っていたのだが。

華やかさだけを願うのも、また人生だろうけれど、人間は人それぞれ。

生きていたい場所が違うのだと思うとき、考え方の違いで、人はともに生きることが出来なくなるのは仕方がないことなんだろう。

私には私の道があるように、人それぞれの道は違うのだからと。
人と人の分岐点はそこで、人生の傍らで待ち受けているのかもしれない。

私には私の生きる場所があるように。

波乱万丈の人生だった己が生きていたい場所とは、艶やかで華やかな時間のある場所ではないのだと。

ひっそりと静かに穏やかに過ぎて、穏やかな時間が流れていく光景こそ、昔からの夢の姿だったことを、赤とんぼの飛ぶ光景の中で浮かび上がるとき。


★★★★★★★★★★

詩【 赤とんぼの飛ぶ光景 】


赤とんぼの飛ぶ光景は
記憶の中の何処に
しまいこんでおいたのだろう


忘れ去ろうともせずに
小さな箱の中で
記憶の小箱は光を放ち
行方を教えようとするとき


開け放たれた箱の蓋は
秋の風をゆるりと飛ぶ
赤とんぼの小さな手が
鍵を開けてしまったように


穏やかな時間が
いざなうかのように
手を差し伸べてくるとき


そこに小さな秋は訪れて
赤とんぼの飛ぶ光景はある


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by kazeumi-jun | 2017-09-03 04:06 | | Trackback