詩【 雨宿りの木 】




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詩【 雨宿りの木 】



夜の中で    路面の濡れた音が
波の打ち寄せる音に似ていて
いつしか   また
雨は降り始め    車は
濡れた濁りの音を奏でて走りゆく

その音の響きの中で
合間を縫うごとく   虫の声はする


コオロギだろうか
この滴る雨の中で
君らの身体は濡れているのだろう


街路樹の草むらに隠れながら
雨の滴りは
秋の気配で冷たいだろう


それでも
重なり合わせたかのように
幾つもの仲間の声は
まるで合わせる音の演奏ごとく


雨は冷たくはないかい
君らの体に当たる雨の雫は

コオロギの体と心が冷たくはないと
誰が決めたのだろう
君らは何も返事はせぬものを


雨の水滴すらもありながら
草や木の枝や    葉からも滴りは
容赦なく当たり続けるだろう
秋の冷たい気配の雨は


涼やかな鳴き声を放つ君らの
その鳴き声の向こう側では
寒さに震えてはいないだろうか
そんなことを思うのさ


深まる秋の季節はあれども
その冷たい気配の雨が
優しくあれと願うのは

君らの声の向こう側では
何かを映し出しているようでもあり

それを木々の枝は知りつつ
君らに雨宿りをさせているのかと

優しげな木々の葉がある
その雨宿りを願うばかり


雨宿りの木々の葉は
涼やかな鳴き声を放つ君らに
優しくあれと思いながら

雨宿りの木々は
小さきものに手を差し伸べると
願っていたいのは   どうしてだろう

雨宿りの木の下で鳴く
小さきものに


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by kazeumi-jun | 2017-09-14 00:40 | | Trackback