詩【 冬と春の中間絵図 】《 早春絵図 》




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詩【 冬と春の中間絵図 】

《 早春絵図 》



みぞれ混じりの雪が滴り落ちた後
全ての雪跡を消し去るように
水滴の雨粒は幾重にも連なり
溶かしていくけれども
冬の居残る風に遮られて
大地の片隅で剣先となる


雲隠れした光の空だけが
凍りついた大地を見つめて
氷の剣先をいたわり始める


隠れることすらなく
出でる早咲きの小さき芽が
雲隠れした光の空を
ひたすら見つめて


君は早春という早咲きの芽だと
知っているのだろう


片隅に居残る雪が滴り落ちた水滴を
ゆっくり眺めては
微かに溶け始めていく剣先を
季節の映し絵ごとく早咲き絵図を
描き出そうとしている


早春という冬と春の中間あたりを
雲隠れした光は行ったり来たりと
幾度となく繰り返しては
早春絵図をつくりあげていく
その雪の中で


ひたすら、私は見つめる
冬と春の中間あたりを

見つめ続ける先で、雲隠れした光は
人間界ではない自然の行き先だけを
見つめている

誰のためにあるわけでもない
自然の行き先を、光は見つめている


ゆっくりと春は動き始めるだろう
人間界の視線を集めて


人々が忘れてゆく雪景色は
記憶の中で数ヶ月の眠りについて


美しき冬と、美しき早春絵図を

寒さ彩る冬風の、美しき早春絵図を
私は忘れることなく
記憶の絵図に映しておこう

我が愛しき冬風が彩る早春絵図を
我が愛しき雪が居残る早春絵図を


誰のためにあるわけでもない
自然の行き先を、光は見つめている


■【 作成日 】■
【 2018年2月23日《 金 》】



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■■【 詩作品に寄せて。】■■

私は詩作品に描いた早春、いわゆる冬風が吹き、雪が居残り裸木と枯れ草がある【 早春絵図 】が、一番好きなのですね。

山裾あたりは、まだ冬の寒さだけがありながら、その雪の中から小さな【 フキノトウ 】の芽が少し出始めて来ます。

その冬と春の中間あたりの美しき絵図は、それらを知る方々なら御存知でしょうね。

冬は終わりに近い、けれども春でもない、まさしく冬と春の中間であり、早春の時期です。

小さな芽が息をする時の、微かな息吹がこっそりと出始めます。

確かに春は美しい。

けれども、春の季節よりは、まだ冬の雪が居残る頃の、やっと芽吹き始める息づかいをする季節の美しき姿は、山裾をよく知る方々ならば御理解いただけることでしょう。

そんな、私の愛する自然の中の、早春絵図を詩作品にいたしました。

下記の歌を御存知でしょうか?
叙情歌《 唱歌 》の【 早春賦 】
《 春は名のみの風の寒さや。》

まさしく、その春は名のみの頃の美しき光景が、私は大好きなのです。

まだ、暦の上は春でも、春とは名ばかりの時期なのですね。
その寒さ彩る早春絵図こそが、あの歌の早春賦の歌詞の意味ですね。

山裾辺りをよく見れば、小さな芽吹きが微かに出始める、そんな息づかいが感じられるからこそ、私は一番好きな時期なのです。

目立たない自然の小さな芽が、やっと冬を越して、あちらこちらで感じられるからこそ、私は愛しき季節なのです。

あまり派手な季節ではありません。

ですが、小さな命が咲き出したばかりの旬な自然が、そこにはあります。

ちょうど山裾あたりは、今の時期こそが、その冬と春の中間あたり【 早春賦 】の季節ですね。

■【 詩人/立原 純 】■


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by kazeumi-jun | 2018-02-23 10:30 | | Trackback