詩【 朝の水 】





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詩【 朝の水 】



朝の水が潤う、その瞬間
滴り始めた空模様の中で
飲み込まれてゆく一滴一滴


朝の冷たさが微かに
あるはずのない季節を生み出せば
滲む汗も空模様に染まり始め
移し替えられた様子を映し出して

思惑のない朝が旧盆の静けさを
呼び込んでいる
街路樹の下に宿る虫音色さへも
何処か、夏の終わりを招くように
忘れがたき夏の朝を迎える



朝の水滴を飲み込んだ緑葉が
人々のいない静けさを包み込んでは
いかにするべきかと相談し合う


いつもならば
聞こえるはずのない朝の虫音色が
奇妙な形をして鳴り響く

車の騒音さへも遠ざかり
旧盆らしき朝のひと幕が
目立たない朝の水を飲むようで
気がつけば
忘れた時刻が再現されては
微かに行き過ぎる



真夜中で滲んだ汗が朝の水で潤い、光が滲む空模様に移し替えられていき、まだ過ぎては行かぬと呟くようでもあり、ほんのいっとき潤い水が朝を迎えに行く

引き寄せられた様子を描く
遠くの木々が揺れもせずに
夜を追い出しては朝の潤い水を
ひと気のない場所で飲み続けている



誰の姿すらなき街角あたりに
朝が迎えられては
佇む街路樹の葉は朝の水で潤うべく
朝の光の横で
忘れ去られたふりをする


朝の水が潤う、その瞬間に
静けさがまとわりつく街角を
見つめては
八月後半に手招きされる秋が
横で居座ることを知る君らは


ひと気のない街角あたりに、ほんのいっとき視線を移せば、朝の光だけが道路を横断していく


旧盆らしき街角あたりに
居座る夏と秋の混合気配が
私の意識だけに居残りながら
素知らぬふりで潤い水を受け止めて


素知らぬふりで意識を通り過ぎていく様子をしては、それらの隙間を縫うように、朝の電車の音が季節を混ぜ込みながら、いつもと変わらぬ光景のままで


私は変わらぬままの姿で
旧盆らしき街角を見つめている
朝の水が潤う、その瞬間を



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詩【 朝の水 】

【 作成日 】
【 2018年8月15日《 水 》】

【 作者名 】
【 詩人/鏡乃 琴禰 】


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by kazeumi-jun | 2018-08-15 07:27 | | Trackback