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詩【 氷柱 】




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詩【 氷柱 】



窓硝子に張り付いた氷が閉ざした扉のようになっている
薄っすらと見えた川の流れが凍りつき、忘れ去られた水流がはみ出して

遠い記憶という中で


遠い歳月の中で
忘れ去られた川の氷柱が
一面に凍りついたように


何処か遠くの山里の冬の粒子が
随分前から氷柱の刃となり
冬の凍える寒さの氷柱の刃を受けて
その大地に突き刺さっていたことを
誰が知っていただろうか?


大地に眠る人が氷柱を見ては
突き刺さりそうな氷の刃が
滴り落ちる一滴一滴の雫さへも
また、凍りつくことを知りながら

閉ざされた水流が氷柱を生み出しては、幾重にも重なり、凍りついた長い歳月の古い氷柱をも刃と変えてゆく

それらは、やがて地上に眠る人の視線の何処へと向かうのか

氷柱は美しき透明な刃となり、春の来ない雪の花を突き刺してしまうだろう


忘れてしまおうとする古い氷柱が
凍りついた川へと突き刺さり
砕け散る粒子の冬風を生む

地上に眠る人の真横で


長い冬が、閉ざされた川の扉すら
忘れたかのような顔をして

そのとき、忘れ去った人が
笑みを浮かべて通り過ぎていく
透明な氷柱を手に入れて

通り過ぎていく人よ

何処か遠くの山里の冬の粒子が
随分前から氷柱の刃となり
冬の凍える寒さの氷柱の刃を受けて
その大地に突き刺さっていたことを
あなたは知るだろうか?


氷柱は美しき透明な刃となり、春の来ない雪の花を突き刺してしまうだろう


それらを胸に秘めていく人よ
見えない雪の花は咲かずに

冬の曇り空に佇む雪の花が
無言の視線を放っているだろう

春の来ない雪の花は
君らが足蹴りにしていく
その足の下にいるのだと



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詩【 氷柱 】

【 作成日 】
【 2019年1月14日《 月 》】

【 作者名 】
【 詩人/鏡乃 琴禰 】


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by kazeumi-jun | 2019-01-14 08:30 |