詩【 1本の木と小鳥 】


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詩【 1本の木と小鳥 】



自由な野鳥の小鳥は
自由なぶんだけ名前があって
それらの小鳥には
たくさんの糸が繋いである


たくさんの糸は一箇所の場所で
束ねられている

その束ねられた糸の向こう側で
誰が一箇所に束ねているのかは
誰にもわからないだろう


自由な野鳥の小鳥は
自由に駆け巡る


けれども
疲れた羽根の休む場所に戻る時
束ねられた場所へと
すかさず降りてゆく


影に隠れている1本の木は
他の周りからは全て見えない

他の誰にも見えないからこそ
野鳥の小鳥は羽根をすぼめて
木の中へと向かい

その木の中で
隠れてしまうことができる


1本の木は
野鳥の小鳥の心の住処であり
1本の木の中で
木の葉に包まれて癒され眠る


その1本の木の心の中に
野鳥の小鳥は住んでいるのだと


1本の木と野鳥の小鳥は
ともに語らいながら
心と心を繋ぎ
明日を語り合うのである


何よりも
束ねられた糸が切れない限り
野鳥の小鳥は安心して
戻れるのだから


1本の木は
野鳥の小鳥のさえずる声を
傍らで聞いて
野鳥の小鳥はそれを知りつつ
穏やかにさえずる


自由な野鳥の小鳥の
たくさんの糸を
誰が束ねているのかは
誰にもわからないだろう


知るのは1本の木と野鳥の小鳥
ともに住む心の居場所


影に隠れている1本の木は
周りの誰からも見えない
その姿すら隠されている

そこは小鳥の秘かな居場所だから
ゆういつの居場所だから


野鳥の小鳥にとって大切な
影に隠れている1本の木


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by kazeumi-jun | 2017-07-25 17:54 | | Trackback


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詩【 別離する瞬間の風 】



ある道が新たに開かれた瞬間の朝
それらを1人で歩くことを
応援するかのように
今年初のミンミンゼミは
ゆっくりと鳴き出し始めている


長い歳月だったと
何十年間の事柄を眺めては
新たに曲がる道を見ている


きっと 風は真夏日の中を
身体ごと吹き抜けていくだろう


見えないはずの風が笑みを浮かべて
背中越しに挨拶をしていくだろう


私に向かって


それは やがて行く道への
追い風ともなり
応援する風ともなるのだろう

全てを切り捨てた私に向かって


頭上では今年初のミンミンゼミは
鳴き始めている


君らには見えることだろう

歩く道を進む 曲がり角にある
もうひとつの
片側を選んだ意味がわかるだろう


新たなる道とは
別離する瞬間から始まっていく
全てを切り捨てた先で
1人の道が出来上がる


背中越しに風は
挨拶をしていくだろう

頭上では今年初のミンミンゼミは
鳴き始めている


私はこの道を1人で歩く
全てを切り捨てた先で

その横で風は挨拶をしていくだろう
全てを切り捨てた私に向かって


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by kazeumi-jun | 2017-07-23 07:30 | | Trackback

詩【 朝の揺らぎ 】


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詩【 朝の揺らぎ 】



朝の小鳥よ 何を告げし
羽根を揺らすよな
歌声ぞ奏でて君は


羽根は見えねども
軽やかな声語りは
誰と話すやら


街路樹の葉先についばむ
朝の食事やら
それとも揺らすよな声を
誰に聞かせたき
思ひめぐらせて
見えぬ街路樹の葉先を浮かべし
高らかな朝の小鳥


人の生きる道で走り去るものには
君らの鳴き声は聞こえぬだろふが
車の行き交う様子をうかがいつつ
軽やかに朝は揺らされて


知っているだろふか
人の世は君らの朝の声の揺らぎが
微かな起きるときになるものと


君らは素知らぬふりで
今日は今日の朝は始まり
羽根を揺らしているだけと
知ってはいても


朝の小鳥のさえずりは
人の世の繊細な造りの機械に
投げかけられた仕草よりも
目覚めし時は早かろうと


我は人の世の繊細な造りの機械に
当てはめられた仕草よりは
君らと共にある揺らぎの方が
良いと思えども


人の世は機械という
繊細な造りに吸い込まれていく
なんと哀しき


ふと聞こえる
君らの軽やかな声語りは
心を吸い込まれし


いつしか君らの軽やかな揺らぎ
それと共にあることを心は知る


我が心は知る
君らの軽やかな揺らぎが
心の上を飛び交うのだと


人の世の繊細な造りの機械に
投げかけられた仕草よりも


君らの軽やかな朝の揺らぎは
我が心を起こし始めるときに


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by kazeumi-jun | 2017-07-20 07:56 | | Trackback

詩【 感覚 】


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詩【 感覚 】



外壁工事のために
我が住む部屋の周囲を
白い幕布で覆われた夏の日


まるで室内は霧の中に
突然に放り出されたような
この一角だけが
別枠の宙に移されたような


それは まるで
窓の外では雪の日の白さが
辺りを包むような

ちょうど室内のレースカーテンが
窓の外の幕布と重なり合って
微かに素通しされた光加減が
不思議感覚の別世界を生む


視線の先で描かれる雪の日の
白い雪と 微かな光が
吹雪く日の輝きすら描いたようで
不思議感覚が醸し出されていく


感覚とは
なんて不思議なものだろう


夏の日だというのに
窓の外に薄っすらと眺める
冬感覚は訪れるというのだから


感覚は己の世界を生むものであり
別枠の繊細さがそこにはある


それらはすべて
己の見方と感覚とが
普段とは左右に逆転するとき


新たなる繊細な感覚が
生み出されていく瞬間なのである


こうして不思議感覚が
左右に逆転する瞬間
いつもとは違うはずの
目新しい光景が生み出される


私は不思議な空間世界を眺めては
ひとり己の逆転空間を楽しむ


それは
意識の中の小さな異次元世界


私は夏の日に
冬の雪景色の中にいるような
不思議感覚を持って眺めている


すると 誰かが言うのだ

不思議な
変わり者の見方でしかないと


果たしてどうなのだろう?


感覚は己の世界を新たに生むもの
意識感覚は己がつくるもの


そんな声を胸に潜めて
私は不思議感覚の空間世界にいる


ある夏の日の暑いときに
真冬の雪景色を眺めるように


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by kazeumi-jun | 2017-07-19 14:30 | | Trackback

詩【 二つの雑木林 】


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詩【 二つの雑木林 】



忘れ去られているはずの
小さな雑木林だった


誰もが足さへ踏み入れない
濁った空気さへ
地上の真上に放り投げている


そんな雑木林だった


忘れ去られているはずの
小さな雑木林は
人の足が踏み入れるには
自然の中の小さな生き物すらも
凍えた視線の淀みになると云ふ


小さな雑木林の
樹々らは空へ向かい
いつしか広々とした大地となる


濁った空気さへも
空から舞い降りては


遠い場所の街中で
小さな雑木林は
忘れ去られることもなく
自然が自然の為に生きる様を
映し絵している


それらはすべて
自然が自然の為にではなくて
人が人の為にある自然であった


君らは風の中で生きる
ひたすら
自然がため自然の姿をさらして
君らは風の中で生きる


誰がためでもなく
自然がため自然のあるままに


人はそれらの恩恵を受けて
街中で楽しげに息を繋ぎ
風の中で生きる


君らは人の中で
自然がため自然のあるままに
生きる姿をして
新たなる繊細な糸を繋ぎ
地上へと送り出している


あゝ 君らは人の中で
自然がため
自然の姿をして
旬な季節を咲き誇る


あゝ 小さな片隅で素晴らしき
凍えた視線にも素知らぬふりで
君らは人の中で生きる


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by kazeumi-jun | 2017-07-19 10:56 | | Trackback

詩【 山岳で生きる 】


【 あくまでも上・下2枚の写真は、詩作品のためのイメージ写真です。
ご了承ください。】

【 詩人/風岬 和華 】
《 かぜみさき・かずはな 》

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詩【 山岳で生きる 】



わずか何千メートルの
違いであるのに
辺りで雪は居残り光は注ぐ


雪の谷間にまとまるように
咲き誇る高山植物が
雪風をひやりと含むことを
知りつつも
声を傾ける しぐさの君らが
遥か真下で生きる者には
可憐という声を繋ぐだろう


けれども君らは
そこで当たり前のように
風の中で生きる術を無言で
描いているだけなのだ


君らに風は優しいかい
時には凍りつく朝もあるだろう


全てを知りながら
光をまといながら
小さな花びらのしぐさを
風のしぐさにのせて


地上では すでに
夏の日になろうとしている
わずか何千メートルの違いで
君らは風のしぐさ さへ初めて受ける
ゆういつの花なのだと


君らが受ける風のしぐさを
地上のあらゆる草花は
待ちわびていることだろう


君らは山岳で生きて
一番最初に風のしぐさを
受けることができる花なのだと


そう思うと
尊敬の念が君らに


君らに贈ろう
遥か真下の地上から
山岳で生きる高山植物の花に


届かぬ視線を風に向けるとき
何千メートルの山岳の風が
吹き渡りくる


夏の暑さは無言のままで
通り過ぎていくだろう

地上にいる夏の草花の上を
地上にいる人々の上を

街を歩く人々の横を


その風は君らが最初に受けたはずの
風のしぐさであるのだと


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by kazeumi-jun | 2017-07-19 08:40 | | Trackback


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詩【 繊細な光の糸紡ぎ 】



繊細な光の糸の速さが
色の濁った図面を
通り抜けようとして
新たな色彩を浮かび上がらせる


艶やかな色彩の糸紡ぎは
いつも通りの絵図を生み出し
そこにある


けれども
混ぜ込んでしまったかのような
濁った色彩だけが
異次元をこちら側に
伝えようとしている朝


濁った色彩の影からは
君らの光の糸は素通しにはならず
異次元空間の中で
真綿の煙を通したように
不可思議な存在となっている


朝焼けは綺麗な光をまとい
穏やかさをも生み出して
いるのだろう?


小鳥は朝を紡ぎ
キャンパスの中で描きながら


窓枠にかけられた一枚の
繊細な織物が全てを遮断する


真綿の煙を通したような
一枚の異次元空間からは
朝焼けは不思議な色彩の中で
朝を迎える


それでも何故か君らの
濁った光から素通しされる
それら影糸の色彩を
外そうとはしないのは何故だろう


いつもの見慣れた光景が
朝焼けを異次元空間から
連れてくる瞬間を眺めては
我が身を置く


他の場所とは違う一箇所だけ
濁った色彩の断面図を眺めて


光という朝の繊細な糸紡ぎは
いつものようにある
少し不思議な異次元空間の中で


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by kazeumi-jun | 2017-07-19 06:33 | | Trackback


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詩【 黒い揚羽蝶 】
《 風に溶ける君の声 》



風の中に溶け込んだような
揚羽蝶が舞い踊る


黒い羽ひらりと
風に溶け込む黒い揚羽蝶は
光を受けて風の中に
消えていくように


あれほどの黒さでありながら
揚羽蝶は風の中に溶けてしまい
空の青さとの色彩を調和しながら
視線の前から離れていく


羽は風に好かれたと思えるほど
緩やかに澄んだ光の中で羽ばたき
一羽の黒い揚羽蝶は
いつしか風の中に消える


何処へ行ったのか
何処へ行くのかさえわからぬまま
弓なりに舞い踊りて
風の中に溶けていく姿は
君の語らぬ声が風に
残されるようでもあり


語らないことが
君の言葉を
風に溶け出されているようで
君の後ろ姿を眺める


緩やかに風に溶け込みながら
君は語らないことが
君の声を風の中に映すようで
じっと見つめていた風の向こう側


君は語らないことが
君の声でもあるのだろう


それを知るのは
街路樹を通り過ぎる風なのだろう


一羽の黒い揚羽蝶は
風に溶け込みながら
語らないことが
君の声でもあるように
ひたすら 風を受けて


人の生きる世とは裏腹に
風と共に生きる揚羽蝶一羽


人の世の声は相変わらず
嘘と真実を裏腹に重ねて
繋ぎ合わせた声を語りながら
風に背を向けて生きている


それらを素知らぬふりで
一羽の黒い揚羽蝶は
語らない声を
風の中に映しこんで行く


風の中に
私の視線と声が
溶け出していくとき


私は風に溶けて
私の心は風になる


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by kazeumi-jun | 2017-07-13 02:53 | | Trackback(4)