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詩【 紅い実は恋する 】




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詩【 紅い実は恋する 】



夏と秋が混在する時期に
紅い実は彩りよく
ついていたはずの木が
紅い実は熟すこともなく
今年は何故か白いままで落ちている


君らは赤く熟すこともなく
まだ何も知らぬまま
コンクリートに落ちている


せめて落ちた紅い実が
土に還る場所であったなら
下を見ている木すらも
悲しまずにすんだであろうか


風は持ち運ぶことすらできずに
人の足に踏み潰されて
白いままの実が泣くように
ぽろぽろと降り落ちたまま


今年の紅い実は
まだ熟してもおらず


その紅い実は
頬を染めるかのような紅さが
ほのりと誰ぞに恋した時のように
それは まるで
ついばむ小鳥へ想ひを寄せて
熟すかのごとく


人の足に踏み潰されぬならば
せめて良かろうが
白いままの実が彩ることもなく


小鳥に恋した時の紅い実
それらの頬にまでも


そう思ひながら
熟さないまま潰れた白い実を
見下ろす木が切なそうに

微かな夏の風は吹き
寂しげに揺れ見下ろす木は
誰を想ふているだろう


せめて今度こそ紅い実が
ほのりと頬を染めたなら
ついばむ小鳥へ運んでおくれ

通り過ぎる風よ
せめて私はそう願いて
熟さないまま潰れた
白いままの実を愛おしむ


紅い実は恋する
ついばむ小鳥へ向かって


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★ 今回の写真は詩作品のイメージ画像として、私が撮影した写真ですが、この写真の無断転載、無断複製、無断借用を一切お断りいたします。

なお、ブログ内の全ての詩作品についても、無断借用、無断転載を一切お断りいたします。

【 詩人/風岬 和華 】
【 かぜみさき・かずはな 】


♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎














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by kazeumi-jun | 2017-08-31 03:04 | | Trackback

詩【 水宝石 】




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詩【 水宝石 】



森の水源から流れ出すや
一滴一滴の水
樹々の間を縫うように光は


それら光の与えしものは
森の体内からの声雫となる


もしも それらが
水の宝石と言われるならば
ありきたりな光は持たぬだろう


細い幾筋もの光と水源が
溶け合い同化しながら
ひとつの身体となるかのごとく
君らは繊細な声をあげては
新たな水宝石となる


森の光は樹々との交ざりを重ねて
ためらうこともなく
一滴一滴の水に降り注ぎ
特別な水源とするべく


それらは全てが
生まれし新たな水宝石となる

流れ出すや水宝石の一滴一滴


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by kazeumi-jun | 2017-08-30 05:21 | | Trackback




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詩【 隔てる夜の中で 】
【 鈴虫 】



透明な壁が隔たるかのように
あちら側では鈴虫の声が聞こえて
涼やかな夜を奏でるというけれど


同じ夜の 同じ場所で
同じ一つの場所で
こちら側と あちら側が
隔てて分かれるかのように
鳴き声は聞こえる


私にはコオロギの声だけが耳に届く
小さな耳は通り道が狭くて
音色は届かず
小さな頃から変わらずあって


貴方はそれらを知りながらも
大きな声で鳴り響く
コオロギだけしか聞こえない
それらの私を忘れたかのように

鈴虫の音色の言葉を奏でては
もう一人の透明な人に向かって
うたを呟くけれども


誰に言っているのだろう
貴方は透明な向こう側の誰かに
囁いている


寂しげな鳴き声の秋の虫が
微かに草むらで鳴くけれども
寂しげであるのは
壁際の私なのだろう


私には聞こえない鈴虫の音色が
ひっそりと放つ行方を
誰に向かって俳句を奏でたのか
貴方は誰に向かって


耳の通り道が狭い私には
ほとんど聞こえない鈴虫の声はなく

微かに聞こえるコオロギだけが
ひっそり私の耳には届くだけと
貴方は知りながら


鈴虫の繊細な声は小さすぎて
私の耳までは聞こえない

それらを貴方は知っていて
艶やかに誰ぞに向かい囁く


貴方が奏でた言葉の俳句が
誰かの ひとりだけに向かっていく
文字となって
私には聞こえない鈴虫の音色


寂しげだったのは秋の虫ではなく
私のほうだったと
夜の中で再び秋の鳴き声を聞く


透明な壁に隔たれたままで
夜の中で秋は近く寂しげに


私には聞こえない鈴虫の声が鳴くと
貴方は誰かに囁くけれども

透明な壁に隔たれたままで
貴方の心も透明な壁に隔たれて

私の心は夜の壁際で独り座り込む


夜の中で秋は近く寂しげに
私の心は夜の壁際で独り座り込む


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by kazeumi-jun | 2017-08-29 03:50 | | Trackback

詩【 戸惑いの風 】




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詩【 戸惑いの風 】



戻りくる時計に細い枝先の葉が
わずかばかりの冷たさを含む風に
追いやられているのか
何かを言いたそうに動きを見せる


人の波は通り過ぎれども
夏の暑さを探すかのように動き回る

それらとは裏腹に
風の中に含む匂ひは思惑を見せて


どこかで誰かが知らせる
宙近くでは次世代の花は咲き
いとも簡単に風は戸惑いを
見せていると


それらを知ってかしらずか
街路樹の細い枝先あたり
繊細さを含みつつ
無言の声を語っている


遠き場所にあるものと
こちらのものとが
見えない糸で
繋がれているかのように
街路樹と山岳の花は
風の行方を知らせ合うのだと


君らは人のそれらとは違い
いつの時も
決して繋ぐ糸を離さずにいると


君らの色彩を眺めるたびに
思うけれども

何かを語るわけではなし
君らの両の手に
囁くように触れては

いつも そっと
君らに語りかける仕草をする


君らは繊細な心を
その枝先に持っているのだと
いつも思うけれども


その繊細さを
人はどう思うているのだろう


生命の力強さと繊細さを
両腕に抱えて
木々の枝先は戸惑いの風に揺らぐ


私は君らを見ている
視線はいつも戸惑いの風の傍らで


視線はいつも戸惑いの風の傍らで


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by kazeumi-jun | 2017-08-28 13:32 | | Trackback

詩【 頬雨 】




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詩【 頬雨《 ほほあめ 》】



儚き夢見と知りつつも
滴り落ちる雫の数滴は
いかがしたものであるかと


隠れし指先の動きを見せぬまま
ぬぐいては声をも閉じ込めし
それは誰もが知らねども


己の頬に雨は降りしゆえかと
不思議に思ひたる
なれども
室内のそれにはありえませぬな


なぜにそう思うたのかと


こぼれ落ちる滴りすらも
気が付かぬまま
儚き夢見と思いつつも
心は切なき想ふ人の傍らに
宙を飛びゆる


両の手にはなき 想ふ人の心は


頬に落ちゆる滴りは
我すらも気が付かぬほどに
うっすら流れし


想ふ人は優しき声の裏腹に
差し出されし棘ありて


そうは思えども
そうは知りつつも


離れなき心は滴り切なきと
声は申しゆる奥の片隅にて


知らぬ間に我の頬に伝わりし
滴りすらも気が付かぬほどに


切なき 哀しきと
心は申しゆる奥の片隅にて
冷たき頬雨は滴りゆく

冷たき頬雨は滴りゆく


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by kazeumi-jun | 2017-08-27 14:17 | | Trackback

詩【 記憶陽炎 】




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詩【 記憶陽炎 】
《 きおくかげろう 》



久しぶりに見えた空は
すでに夏の終わりに近い時だった


閉めた布地の向こう側を
透き通るかのように雲はあり
隙間だらけにある青さの空が
見え隠れする夏の終わりだった


少し濁りのある室内から
久しぶりに見た空は
夏は遠く離れつつあって


その濁りのある室内に
しがみつけられたような身体を
窓硝子は見抜くかのように


滴りを持つ心景色が
あの陽炎が遠ざかるのを知りながら
いつまでも見ているような


陽射しに さらされた声の中で
あなたは しがみついたまま
陽炎となって
見る見る間に遠去かりゆく


あなたは心景色に入り込み
映し込まれた陽炎なのだろうか


それとも
記憶が映しこんだだけの
記憶陽炎だったのだろうか


いつも言葉とは裏腹な
あなたが見せたものは
陽炎のように あまりに儚すぎて


陽射しの中で染まるかのごとく
全てが揺らぐ幻となって
声すらなき陽炎は


まるで歳月という心景色を
渡りゆくだけの記憶陽炎のように


久しぶりに見えた空は
すでに夏の終わりに近づいていて
あなたが見せたものすらも
記憶陽炎のように
あなたが持ち去っては消える
いつの日も


あなたは
まるで歳月という心景色を
渡りゆくだけの記憶陽炎のように


この奥の深い滴りすらも見ぬまま
いつも あなたは素知らぬままで


再びの記憶陽炎となって


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by kazeumi-jun | 2017-08-27 07:23 | | Trackback

詩【 銀鏡の水流 】




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詩【 銀鏡の水流 】



枝垂れたる細い手が水面を揺らし
色彩を映し込まれた川の水鏡


ゆるりと波は幾重にも
リズムを描いては
映し出されし枝垂れた手の
それらが遊びゆくかのごとく


何をしておるのやら
枝垂れたる細い手は水鏡と戯れし
陽射しは流るる小さき波の傍らで


まるで笑みを見せし
戯れる細い枝先の手に


水流は流れる先で
眩しきほどの銀鏡


誰が眺めるやら銀鏡の水流は
陽射しのみ戯れて
周りの色彩は変われども
映し出されし君らの秘かな遊戯


いつの時も変わらぬのは
眩しきほどの銀鏡の水流と
枝垂れたる細い手は陽射しと戯れる


眩しきほどの銀鏡の水流と
枝垂れたる細い手は陽射しと戯れる


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by kazeumi-jun | 2017-08-26 15:40 | | Trackback

詩【 花色羽根 】




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詩【 花色羽根 】



誰もが知らぬものなれば
その花色には透明な羽根があって


その心内から
そろりと臆病な風に吹かれつ
差し出したるや花色羽根


誰もが優しき声をかけるけれども
花色羽根の頭上を風に吹かれるよに
優しき言葉は瞬く間に消えゆる


優しき声掛けはあれども
声の片隅には小さな棘を
幾つも持っては置いてゆかれし


薄い花色羽根は繊細な色彩ゆえに
破れたら飛べませぬ


花色羽根は宙を見つめし
あゝ 誰もが優しき声掛けなさり
なれども
両の手で包まれしものはなきと
そのつどに思えば
うたかたの夢と知りつつも


叶うなれば
花色羽根の傍らに
差し出したるや両の手で
包まれたきと願いつも


うたかたの夢の向こうへと
流れゆる風の行方のよふに


見上げし花色羽根の宙は
いつも遠きものぞ


花色羽根はあれども
薄い色彩を持つ羽根が
破れては飛べませぬ


珍しげに見やる花の
それらの心内から羽根は見えたり


花色羽根と申しゆる


うたかたの夢は消えゆると知りつも
いつまでも眺めし
行く人々の優しき声掛けの先で
視線は どこへ向いているやら


花色羽根を見てはおりませぬな


それを知りつつ花色羽根は
儚い夢を見ては宙へと
想ひを流しやる


それは花色羽根と申しゆる


その心内から
そろりと臆病な風に吹かれつ
差し出したるや花色羽根


花色羽根は見えぬ風の
いつも消え去る様子を眺めて

優しき声掛けの向く視線はなきと
知りながら いつまでも
いったい誰を想ふのだろう

背負う悲しみと知りつつ


うたかたの消える夢と知りつつ
儚いかげろうと知りつつ


臆病な花色羽根の雫は風に流るる

臆病な花色羽根の雫は風に流るる


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by kazeumi-jun | 2017-08-26 10:44 | | Trackback




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詩【 宙の露《 そらのつゆ 》】



陽を浴びては
滴りくる宙の露を受けて


やがて小さき息づかいを
生み出したはずの芽は
幾度にも宙の露を受けては
四つの居場所で歳月を繰り返し


四季という四つの居場所の中で
次々と小さきものを送り出し続け
木の下に眠らせる


滴りくる宙の露は
周りくねる居場所への合図だと
君らは知っているのだろう


そろそろ生まれ変わる前の眠りが
待ちわびながら
誇らしげに枯葉を
舞い踊らせることだろうか


人のそれらは足早に過ぎ去り
枯葉の音すら聞かないけれど


木の内側の蓄えし流水が
循環しながら見つめているだろう

微かに循環する流水の音が
眠りへの合図に似て


冬の木には 花も葉も咲かぬ
けれども
内側では循環する流水が
眠りついている寝息を見ては
芽の出る様子を
うかがっていることすら
人は知らぬことであろうと


滴りくる宙の露だけは
そのつどに循環する流水に
手を差し伸べるように
合図を重ね送る


君らは地上の片隅で
そんな宙の露を受けては
人の様な声はなけれども
ひっそり生み出していくのだろう


滴りくる宙の露は降り注ぐ
木の内側に蓄えし流水に向かい
歳月を繰り返すべく


地上の片隅で
再びの枯葉は眠りにつくのも
間近なのだろう


合図と共に送り出すのは
滴りくる宙の露


君らの生命の源である宙の露
全てが合図だと知る

君らに今日も陽は注がれる


やがて足元でカサコソと
君らの眠りの声は届くのだろう


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by kazeumi-jun | 2017-08-26 03:00 | | Trackback

詩【 心景色 】




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詩【 心景色 】



どうして貴方を想って
しまうのだろう


わかっているはずの
優しき言葉の裏側で
裏腹なものを置き去りにするのを
知りながらも



どうして優しき言葉に
ほだされては
いつまでも貴方を想ふのかと



人は優しき言葉だけで
何もしないことは
連ねる優しさの雨が降るだけと


誰もが私に言うけれども
言うけれども


残酷な色彩は常にあって
それらに
背を向けても 背を向けても
見せていて


哀しきものを積み重ねては
滴りすらも
彩る枯葉の中に染め込んでいく


貴方という心景色を


哀しきものを積み重ねては
滴りすらも
彩る枯葉の中に染め込んでいく


私の中にあり続ける心景色


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by kazeumi-jun | 2017-08-25 20:30 | | Trackback