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詩【 朝の灯り 】




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詩【 朝の灯り 】



朝の始発の電車が
空気と通りを抜けて
それらの音が
こちら側までも届く頃


空ではカラスは鳴き始めて
小鳥は鳴きそろい
電車のブレーキらしき音が
静かに貫くように
遠くから聞こえ始める


朝焼けは街の様子を
眺めるかのごとき

全てのものが重なり合い
朝を貫く音と声は教える


それらを聞いては
朝の動きを思い浮かべては
宙で音の成り行きを見つめる

窓際の布の隙間から
微かな朝陽が届くとき

私は真反対の眠りにつく
人とは反対側を歩く人のように


意識は目覚めたままの
眠さのないものが
心棒となり金具となるのか


気だるさだけが
心棒となる金具を
抱きしめようとでもするのか


人が電車に向かい視線を放つ時
私は真反対の眠りにつく
人とは反対側を歩く人のように


踏切の音が鳴る
あの電車に乗る人は
何処まで向かおうとしているのか

気だるさを抱えた中で
思い浮かべては


真夜中を過ごしたはずの
室内の明かりは灯されたまま
待ちわびていると知りながらも


無言のまま真夜中を過ごした
気だるさだけが
心棒となる金具を抱きしめて

朝はゆっくり訪れる
いつもと変わらぬ時間が
明かりの中に沈むときに

朝の灯りは待ちわびる
遅れたままの夜があるように


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by kazeumi-jun | 2017-09-18 12:02 | | Trackback

詩【 風糸 】




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詩【 風糸 】



風に糸があるとするならば
薄い雲にまみれた青さが
空の内側で隠されて
色彩を放つようにあり

さも見えないように
幾筋もの糸が
透明な光を帯びたまま
あるんだろう


人と人が繋ぐ風糸が
胸と胸で繋がれていることが
見えないはずのものであるように

奇跡に近い風糸の行方を
捜し求めるように
人は空を仰ぎながら
眺めているのだろう    誰もが


秋風は吹いたのかい?
桜の木はもう枯葉を
眠らせる準備を始めたのかい?


人は風糸があるはずの
宙を見つめては
奇跡に近い透明な光を放つ風糸を
君らの中に探そうとするのだろう


風に糸があるとするならば
それは人と人が繋ぐ胸にあり
それらを見つめては

薄雲が帯びたままの
隠された空の青さを
懸命に見つめようとする
ひたむきさに似ている


風糸は君らが持っているのだろう

誰もが繋ぎ合わせる糸と糸の
行方を探すかのように雲の中で

今日も人は眺める
胸にある風糸が何処まで
運ばれているのかを知るために


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by kazeumi-jun | 2017-09-18 11:49 | | Trackback




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詩【 分岐点の夕陽絵図 】



消えた灯りは
すでに    朝の中に紛れて
お互いに必要ではないのだと


灯りが言った声は届いただろうか


歩く人にも    灯りにも
街を照らすはずの役目は終わり
新たな灯りとして移されて


灯りは沈む夕陽を見つめて
明日を思い浮かべているだろう


その街に灯りは撤去され
別の場所にて生きると
灯りは告げている


歩く人にも    灯りにも
別々の場所にて生きると


歩く人は宙の星へと向かい歩き
視線を放っている


灯りは大地の上で秘めやかに
ほのかに照らしている


いつまで灯りがあるのか
ほのかな灯りにも
知らぬことだろうか


それでも


映し出された夕陽は紅く
色彩は豊かさを視線に映すだろう


人は言うだろう

いとも簡単に決めてしまうことが
不思議でならぬと


分断された道は
いつまでも歩き続けることは
ないのだろう


全ては    それすらも
生きることへの道となる


分断された空に紅く
夕陽は色彩豊かに染め上げる


灯りが言った声が届いただろうか
それこそが分岐点の絵図なのだと


きみの行く道と    灯りの行く道は
すでに分断されたはずの絵図


分断された空に紅く
夕陽は色彩豊かに染め上げる

灯りはひとつだけで見つめる
紅く染まりゆく色彩の豊かさを


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by kazeumi-jun | 2017-09-18 04:24 | | Trackback

詩【 オルゴール 】




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詩【 オルゴール 】



街がオルゴールになる

描かれた街の灯りから
無数の声は    ひそやかに奏でて
いることだろう

声と声は音楽のように
様々な声を地上に映し出しながら


それらを誰が見ているだろう

誰もが知らない星の人々すらも
見つめているかもしれぬ


街がメリーゴーランドになる

あちらこちらに描かれていく
無数の灯りの外側では
車も   歩く人々も街灯りの上で
笑い声も   泣く人すらも
夜景の絵図に染まりながら


そうして美しき夜景が終わる頃

朝焼けは人々の上で
また次のために    夢を描く時の
光を差し向けるだろう


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by kazeumi-jun | 2017-09-17 05:40 | | Trackback

詩【 歳月の時計 】




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詩【 歳月の時計 】



歳月とは不思議なものだと
静かに揺れる波の動きが
微かな言葉を告げる


海の傍らで
様々な物語があるように
哀しき物語すらも
波間に揺れ動き
とどめることもなく


人の意識には
残るであろう思いは
変わらぬ船が無言のままで
歳月の長さを教える


歳月は流れようとも
人の意識の中には
悲しき物語も   嬉しき物語も
消えることなく沈み


やがては歳月の時計が
優しげに手を差し伸べて
くるのだろう


歳月の時計の両腕は
いつの日も優しげに温もる手で
無言のまま

優しげに手を差し伸べて
くるのだろう


あゝ   歳月の時計よ
君はなんて優しい両腕を持つのか

広い海の傍らで歳月の時計を見る


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by kazeumi-jun | 2017-09-15 20:39 | | Trackback

詩【 雨宿りの木 】




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詩【 雨宿りの木 】



夜の中で    路面の濡れた音が
波の打ち寄せる音に似ていて
いつしか   また
雨は降り始め    車は
濡れた濁りの音を奏でて走りゆく

その音の響きの中で
合間を縫うごとく   虫の声はする


コオロギだろうか
この滴る雨の中で
君らの身体は濡れているのだろう


街路樹の草むらに隠れながら
雨の滴りは
秋の気配で冷たいだろう


それでも
重なり合わせたかのように
幾つもの仲間の声は
まるで合わせる音の演奏ごとく


雨は冷たくはないかい
君らの体に当たる雨の雫は

コオロギの体と心が冷たくはないと
誰が決めたのだろう
君らは何も返事はせぬものを


雨の水滴すらもありながら
草や木の枝や    葉からも滴りは
容赦なく当たり続けるだろう
秋の冷たい気配の雨は


涼やかな鳴き声を放つ君らの
その鳴き声の向こう側では
寒さに震えてはいないだろうか
そんなことを思うのさ


深まる秋の季節はあれども
その冷たい気配の雨が
優しくあれと願うのは

君らの声の向こう側では
何かを映し出しているようでもあり

それを木々の枝は知りつつ
君らに雨宿りをさせているのかと

優しげな木々の葉がある
その雨宿りを願うばかり


雨宿りの木々の葉は
涼やかな鳴き声を放つ君らに
優しくあれと思いながら

雨宿りの木々は
小さきものに手を差し伸べると
願っていたいのは   どうしてだろう

雨宿りの木の下で鳴く
小さきものに


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by kazeumi-jun | 2017-09-14 00:40 | | Trackback

詩【 真実という宙 】




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詩【 真実という宙 】



真実とは何処に隠れているのかは
わからないものだ


例えば   草むらの細い葉先の傍らに
例えば   木々が覆い隠す葉の中に
例えば   土の中にある根付いた草の
奥の方に


例えば   人が歩く姿の裏側に
人の心という数多な木々の葉の中に
それらの真実はあるかもしれない


それとも   堂々と
木々の見える場所に


嘘という幻想すらも
裏側に真実はあって

隠された真実を探すのがいいとは
言えないと
人は言うだろう


けれども
私は真実を臆すことなく
怖がることなく見つめるだろう
真実を   本当の真実を


真実を知ることに臆していたら
夜明けを眺める先の方にある
それらの全ての
小さなものすらも見えなくなる


見たいものは
きっと   その先にある


真実を見ることを臆すことなく
私は真実を見る眼を持って
夜明けの空へ向かうだろう


人は言うだろう
隠された真実を知ることや
見るだけがいいとは限らないと


私は見たいのさ

真実とやらの向こうに見える先の
小さなものすら見つめていたいと


嘘という幻想に隠された裏側で
真実の一枚の葉先が
見つめてほしい
手を差し出している

それらのものすら見つめて

手を差し出している心を
見つめてあげたいのさ


私は   それだけさ


誰が言うのだろう?
知らない方がいい真実もあると

真実とやらの向こうに
小さく根付いた一枚の葉が
何かを告げている


そんな全てのものを
私は怖がることなく見つめるだろう

私は臆することなく見つめるだろう
見たいものは
朝焼けの向こうに見えるものさ


見たいものは
きっと   その先にある


あゝ  朝焼けだ   夕焼けだ
限りなく広い宙の向こうは


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by kazeumi-jun | 2017-09-13 00:50 | | Trackback




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詩【 器《 うつわ 》の声語り 】



ひととき   夏の間に
透明グラスの中で澄んだ氷は
外壁に水滴ふくみし珈琲の
汗とも思える雫は消え去りながら


冷ややかな季節時計が動くとき

忘れていたはずの
両の手と心を共にいたわる熱さの
君らの白き湯気あふるる器は
無言のままで視線を放つように


今宵も涼しけれ   涼しけれと
季節時計の風は声をかける


人の世の中にも
動き始めた季節時計からの
声は聞こえ始める


両の手を温もりし君らは
忘れていた心に語りかける


そろそろ    君らの優しげな
声語りを聞こうか    器の中から

小さなカップの中から
そっと   君らは笑う


そうだね   思い出したよ
そろそろ    君らの優しげな
声語りを聞こうか    器の中から

小さな器の中からの声語りを


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by kazeumi-jun | 2017-09-12 22:41 | | Trackback

詩【 風の意志 】




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詩【 風の意志 】



風は見えず透明なものだけれど
風が動くとき   揺らぐものの中に
全てを動かそうとする自然の意志が
そこには事実としてある


それらは風の意志であると
言うならば
風が動きをするものを見つめていたら
その向こう側には
自然という名のものが
幾つもの手となり差し出して
見えているのかもしれない


そう思うと   見えない風の動き
その風の中には自然の意志が
事実としてあって

それらの中に
見えないはずのものの
無言さの声もあると思うのは
変わり者すぎるのだろうか


風は見えず透明なものだけれど
風が動かそうとする中に
自然という名の意志が
事実として存在している


だからこそ
私は風を見ようとする

風が動かそうしている
ベランダに揺らぐ物すらも
揺れるカーテンすらも
木々にある   一枚の葉先すらも
落ちた枯葉すらも
真冬の木の枝すらも
空の雲の流れすらも
揺れる海の波すらも

全ての中に風は無言のままで
自然という名の声を示している


秋となっている季節風は
事実として何を伝えようとして
いるのだろうか?

伝えようとする風の意志を
私は見ている


私は見えないものの中にある
それらの全ての意志を見つめる


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by kazeumi-jun | 2017-09-11 14:55 | | Trackback

詩【 映し鏡 】




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詩【 映し鏡 】



この両手の中にあるはずのもの
それは最初から   なかったもの

わかってはいたさ
この両手の中にあるものは
空気と    見えない透明な液体と
あるはずのなかった熱い体温


両手の中には    氷を割った後の
まだ溶けない氷の破片が
指にくっついたまま冷たさ残る感触


ありもしなかった暑さの夏が
冷夏であったかのように
小さな部屋の外壁工事に
閉ざされたままの幕布は
今なお   張られたまま


見えなかった夏の景色は
秋を迎えても閉ざされた幕布


気がつけば
両手の中には消えもせずにある
氷の後の水滴
氷を割った後の感触だけが

凍えていたのは
誰であったのだろう


片側にいた    もう一人が
幻想のように鏡に映る

その中に佇む姿は
無表情なままの
笑うこともせず
泣くこともせず
表情を浮かべることすら
忘れてしまったかのように

ひたすら無表情なままの
本当の姿が見えては映り込む


知っていたのだろう?
鏡に映る姿こそが
確かな姿であると


両手の中にあるはずのものは
空気と    見えない透明な液体と
あるはずのなかった熱い体温


その両手が求めたのは
今まで   決してあり得なかった
ほんの小さな小さなもの

今まであるはずのなかったものが
また映し鏡の中に閉ざされていく


それを無表情なままで
鏡の中から見つめる眼は
全てを押し隠したままで


両手の中に透明な液体を
微かに滴り落としてくる
誰もがいないことを知る君は

君はだれ?

鏡の中に映る本当の姿が
こちら側の私の顔を映しては
悲しげな眼を向ける


ひとり鏡の映し絵は
誰もが知らない場所にあると
無表情なままで君は告げる


君はだれ?

ひとり鏡の中の   君さ
これは映し鏡だからさ

今まで決してあるはずもなかった
それらのものを求めることなど
いけないことだからだ


ささやかな   ほんの小さなものでも
求めることすら許されないと
言うのだろうか?    君は

どうしてなのだろう?   映し鏡よ

もともと何も持たない人であろうと
ほんの小さな欠片すらも
全てを奪い取っていくのだろうか

ほんの小さな欠片の微粒子すらも
私は持つことすら許さないと?
それを願うことすら許さないと?
そう言うのだろうか

私はほんの小さな欠片の
微粒子だけの温もりでも
良かったのだというのに

それだけのもので良かったのだと
他にはいらなかったのだと


けれども   残るのは   両手の中に
空気と   透明な液体
凍りついた手の感触


両手の中にあるはずのものは
空気と    見えない透明な液体と
あるはずのなかった熱い体温


君の   そこにあるものは   それだけ
君の両手には   それだけしかない
もともと君は何も持たない人だ

人も    人の体温も    戻る場所も
人の声も   熱い体温すらもない
いつも君の両手には空気だけだ
君が《 生 》を受けた時からさ

繰り返し   映し鏡が語りかけてくる
無表情なままで


この《 生 》を受けた時から
確かに何も持たない人だった
けれども
何も欲しいとは思わずに過ごして

けれども   生まれて初めて
ほんの小さな欠片の微粒子の
温もりの体温を持ち去る人が
羨ましいと思ってしまっただけ

無欲の胸に宿ったのは
少しだけの小さな欲の微粒子

それさえあればいいと思える程の
微粒子の中の    手の感触と体温

それは持ってはいけない欲だと
言うのだろうか?    映し鏡よ


欲など持てない君だっただろう
ないものを持ちたいと思えば
それらを    またひとつ失う時に
君は映し絵の滴りを見たいのかい
やめたまえ

無欲だっただろう?   君は
強欲の塊を見続けてきただろう
君の周りにいた人々の中で

それらの強欲の塊に
君は押しつぶされたのだろう

その    君の命《 生 》すらも
奪われそうになりながら   ずっと

君がこの世に
その《 生 》を受けた時から
彼らは君の命《 生 》を奪い取ろうと
狙っていたと知っているだろう

もともと君は何も持たない人だ
もともと持ってはいないものを
欲のなかで生み出すのか   君は

それが   あの彼らと同じ
人間の欲だと知りながら

無表情なままの映し鏡は語った
こちら側にいる私に向かって


凍りついた手の感触が
冷たすぎて    この両手に
小さな微粒子の温かさが欲しいと
そう思ってしまっただけ

生まれて初めて羨ましいと
思ってしまった私は
間違っているのだろうか?
無表情なままの映し鏡よ

両手には閉ざされたはずの
何も映さない空気と透明な液体が
相変わらずあるだけと知りながら


願わくば    ほんの小さな微粒子の
それらの小さなものが欲しいと
私は生まれて初めて思ってしまった

この両手を温める体温を
この私の心を温める体温を

それが    人間の欲だとしても
人間の欲だとしても
願わくば    願わくば    願わくば

私は欲しいと願う
この私の心を温める体温を


ほんの小さなものが
両手の中から溶けていき
手のひらに残る空気と透明な液体

無表情の映し鏡が見つめる先で


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by kazeumi-jun | 2017-09-11 03:17 | | Trackback