詩【 毛糸の心臓 】




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詩【 毛糸の心臓 】



毛糸で編んだハート型の心臓に
残りかす毛糸の、バラバラな糸屑を
ギュウギュウに詰め込んだら
毛糸の肌は張り裂けそうになり
編み目から糸屑が見えてしまった


まるで破れかけた心臓が
破裂しそうな勢いで細い糸屑を
押し出そうとしている


毛糸の中は糸屑の体内宇宙
切れた糸が血流のような赤や薄紅色
白い肌色ごとくの細い糸が
毛糸の編み目から張り裂けそうに

いかにも、何処ぞの心臓が
破裂しているかのごとく
宇宙をつくりあげて
心臓は破裂寸前ギュウギュウ詰め


糸屑の宇宙は編み目から
張り裂けそうな糸屑を
遠くの星々に見立てて
破れかけた、毛糸の肌を見ている


息も切れ切れな、危うい私の心臓が
とても似たようだと苦笑いしては
毛糸で編んだハート型の心臓を
見つめている
重なりすぎるほど似ていると呟いて


毛糸の編み目の中は
残りかす毛糸の、糸屑の宇宙が
たくさん血流のように詰まっている

張り裂けそうな編み目から
ギョロリと睨む糸屑の星々がいる


糸屑の心臓からは残りかす毛糸の
血流がはみ出しては、見つめている

毛糸で編んだハート型の心臓を

にも破裂寸前な、この毛糸の心臓を
我が身と重ね合わせては


■【 作成日 】■
【 2018年2月28日《 水 》】



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by kazeumi-jun | 2018-02-28 05:07 | | Trackback

詩【 宇宙を持つ器 】




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詩【 宇宙を持つ器 】



この胸の中には、宇宙と同じような
粒子になってしまった欠片があって
その微粒子が、広い星々の宇宙を
つくりあげている

それは全て粉々に砕かれた微粒子の
様々な記憶の欠片と意識
それが心という


器という心臓から
小さな手を出すことがある

器という場所の一部の心臓から
何かを掴むように手が伸びて
やがて、その小さな手から
心臓めがけて
微粒子を投げつけるものだから
危うい心臓が息も切れ切れに
咳き込んでしまって
刻み込まれたものが映り込むとき
心臓は息も吸えぬほどになる


心臓から出る小さな手は
宇宙にある粉々の微粒子を
掴もうとするから
敵対する器という心臓が、まるで
夜の影から解き放たれる煙に
溶け出して吸い込まれ
消えるかのごとく

やがて夜に吐き出される煙が
我が心臓を誘い出し
透明に消えることを知るかのように

咳き込んでしまった心臓が
時折、意識のない煙に溶け込む


我が、身体という全ての中には
宇宙という砕かれた微粒子の欠片
全て刻まれた星々の集まる場所があり
それが、いわゆる心という場所である

敵対するかのごとく
器という場所の一部に心臓はあり
その場所から出でる小さな手が
遊ぶようにあり
宇宙という微粒子の欠片を拾っては
我が心臓めがけて投げるものだから

それらをまとめる器という
全ての身体が、時間を切り出し始める

刻み込まれたものが映り込むとき
誘い出された手が心臓めがけて
何かを投げつける


そのたびに
それらをまとめる器という
全ての身体が、時間を短く切り刻む
切り刻まれ細切れされた時間

それらをまとめる、全ての身体が
時間を切り出し始めていく


やがて、私は何かを察したかのように
宇宙という微粒子の場所を
見回り始めている

身体という場所を見回り始めている
良くも悪くも、私は見回り始めている
微粒子となった欠片の行方を

切り出し始めた時間の中で

息も切れ切れになる、危うい心臓が
夜の煙に溶け込み消えそうになって


■【 作成日 】■
【 2018年2月27日《 火 》】



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by kazeumi-jun | 2018-02-27 04:42 | | Trackback

詩【 変わらぬままで 】




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詩【 変わらぬままで 】



春過ぎし頃の柔らかな樹々の色に
誰もが真の姿を見つければ
声もなく君らの葉色を心に映しこみ
人の世で濁りにまみれる声も心も
その柔らかな樹々の葉に
溶け出し消えるかもしれぬ


あれもこれもと手に抱えた欲の
人間の濁りのものさへ持たぬ君らは

おそらく人の世で、人の姿を持てば
君らの柔らかな葉色は
ありえぬほどのものとなり
美しさを醸し出すことだろうか


君らの柔らかな樹々の生きる姿を
誰もが知れども
微かな視線の先から素通りしては
旬な息づかいすらも
濁りの中で置き去りにして人の世は


あゝ  なれども   君らは
いつの時も変わることなき姿で
季節の歳月を繰り返しゆく

変わらぬ美しさを
変わらぬままで


人の世は変わらぬままにいることが
不思議さを伴うと云ふけれども

なぜに、世の人々は君らのよふな
柔らかな葉色の姿さへ
すぐに置き去りにしていくのだろう


変わらぬ美しさを
変わらぬままで、柔らかな樹々は
その樹々の内部に
ひたすら、澄んだ息を浸透させて

それを、人の世では心と云ふのだろう


変わらぬ美しさを
変わらぬままで

そんな生き方をする君らだからこそ
私は樹々の君らを、我が心の友と呼ぶ


■【 作成日 】■
【 2018年2月15日 】



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by kazeumi-jun | 2018-02-26 08:57 | | Trackback

詩【 ひと枝の声 】




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詩【 ひと枝の声 】



ひと枝の声に呼び止められし
無言の花語りぞ
何を伝えてくるものかと思へども
放つ匂ひに紛れ   聞きそびれるは
なぜにと問ふならば
ひと枝の先に秘める声となり
花語りの行き先を知ればこそ
素知らぬふりで
笑みすら浮かべ過ぎゆく我の身は


ひと枝の微かな視線の先には
ともに咲き出でた花びらの
密やかな花語りを見つければ
誰とて無言のまま
素知らぬふりすらしようと思へば


ひと枝の紅き梅花よ
君らの花語り
人の世には聞こえぬなれば
ゆるりと話されよ


秘めやかに語らう、ひと枝の
秘密めいた話とて
我は素知らぬふりで
心だけ置き去りにしておこうと思ふ


ひと枝の先に秘める声の花語りあれば
我は素知らぬふりで
心だけ置き去りにしておこうと思ふ


■【 作成日 】■
【 2018年2月15日 】



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by kazeumi-jun | 2018-02-25 15:53 | | Trackback

詩【 紅花の唇 】




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詩【 紅花の唇 】



紅花の秘めた艶やかさに
太陽の光さへも惹かれしゆへに

その輝きとは裏腹に
花の蜜のような紅き色艶に
人の視線すらも集まれば
熱き紅花の心さへも染まる


紅花の布に染み込みし艶は
太陽の息の手に触れられて
ほんのり薄桃色になりしゆへに


まるで   紅花の秘めた色艶の想ひが
細き花びらに秘めたまま咲き開いた
君らの心募る紅艶の恋だろふか


紅花の秘めた色艶を眺めれば
太陽の光さへも惹かれしゆへに

緑葉の手の上にのせられし紅花
仄かに紅き露を滴らせて
薄桃色に染まりし紅花の色艶ありて


まるで    人の頬色に似て
恋紅をさすひとの艶唇に思われ
人の姿を重ねて眺める不思議さよ


緑葉の手の上にのせられし紅花
仄かに紅き露を滴らせて
薄桃色に染まりし紅花の色艶ありて

愛しきと太陽の光は告げる
紅唇の色艶に染まる頬のよふに
人の想ひに似て紅花の唇は


■■【 紅花《 ベニバナ 》】■■

紅色の口紅のもとになる花。
昔はベニバナの紅い口紅は、京都あたりで多く使用されていた。
黄色い花から紅色に変わる。
また、紅花染めなどもある。


■【 作成日 】■
【 2018年2月13日 】



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by kazeumi-jun | 2018-02-24 06:07 | | Trackback




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詩【 冬と春の中間絵図 】

《 早春絵図 》



みぞれ混じりの雪が滴り落ちた後
全ての雪跡を消し去るように
水滴の雨粒は幾重にも連なり
溶かしていくけれども
冬の居残る風に遮られて
大地の片隅で剣先となる


雲隠れした光の空だけが
凍りついた大地を見つめて
氷の剣先をいたわり始める


隠れることすらなく
出でる早咲きの小さき芽が
雲隠れした光の空を
ひたすら見つめて


君は早春という早咲きの芽だと
知っているのだろう


片隅に居残る雪が滴り落ちた水滴を
ゆっくり眺めては
微かに溶け始めていく剣先を
季節の映し絵ごとく早咲き絵図を
描き出そうとしている


早春という冬と春の中間あたりを
雲隠れした光は行ったり来たりと
幾度となく繰り返しては
早春絵図をつくりあげていく
その雪の中で


ひたすら、私は見つめる
冬と春の中間あたりを

見つめ続ける先で、雲隠れした光は
人間界ではない自然の行き先だけを
見つめている

誰のためにあるわけでもない
自然の行き先を、光は見つめている


ゆっくりと春は動き始めるだろう
人間界の視線を集めて


人々が忘れてゆく雪景色は
記憶の中で数ヶ月の眠りについて


美しき冬と、美しき早春絵図を

寒さ彩る冬風の、美しき早春絵図を
私は忘れることなく
記憶の絵図に映しておこう

我が愛しき冬風が彩る早春絵図を
我が愛しき雪が居残る早春絵図を


誰のためにあるわけでもない
自然の行き先を、光は見つめている


■【 作成日 】■
【 2018年2月23日《 金 》】



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■■【 詩作品に寄せて。】■■

私は詩作品に描いた早春、いわゆる冬風が吹き、雪が居残り裸木と枯れ草がある【 早春絵図 】が、一番好きなのですね。

山裾あたりは、まだ冬の寒さだけがありながら、その雪の中から小さな【 フキノトウ 】の芽が少し出始めて来ます。

その冬と春の中間あたりの美しき絵図は、それらを知る方々なら御存知でしょうね。

冬は終わりに近い、けれども春でもない、まさしく冬と春の中間であり、早春の時期です。

小さな芽が息をする時の、微かな息吹がこっそりと出始めます。

確かに春は美しい。

けれども、春の季節よりは、まだ冬の雪が居残る頃の、やっと芽吹き始める息づかいをする季節の美しき姿は、山裾をよく知る方々ならば御理解いただけることでしょう。

そんな、私の愛する自然の中の、早春絵図を詩作品にいたしました。

下記の歌を御存知でしょうか?
叙情歌《 唱歌 》の【 早春賦 】
《 春は名のみの風の寒さや。》

まさしく、その春は名のみの頃の美しき光景が、私は大好きなのです。

まだ、暦の上は春でも、春とは名ばかりの時期なのですね。
その寒さ彩る早春絵図こそが、あの歌の早春賦の歌詞の意味ですね。

山裾辺りをよく見れば、小さな芽吹きが微かに出始める、そんな息づかいが感じられるからこそ、私は一番好きな時期なのです。

目立たない自然の小さな芽が、やっと冬を越して、あちらこちらで感じられるからこそ、私は愛しき季節なのです。

あまり派手な季節ではありません。

ですが、小さな命が咲き出したばかりの旬な自然が、そこにはあります。

ちょうど山裾あたりは、今の時期こそが、その冬と春の中間あたり【 早春賦 】の季節ですね。

■【 詩人/立原 純 】■


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by kazeumi-jun | 2018-02-23 10:30 | | Trackback




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詩【 空へ託す雪薔薇に 】

《 雪薔薇への願い事 》



みぞれ降りし早春の、暗闇の空に
静けさを伴い音もなく
寒風を抱きしめた雪が降る

《 みぞれやみぞれ
見えぬ暗闇に雪は降らせ
積もることもなく消える前に
その雪の中に願い事を
秘かにかかえておくれ 》


早春の頃に降る雪は
願ふ人の想ひを雪の中へとかかえて
忘れぬうちに空に持ち帰るのだと云ふ


願い事を託されし早春の頃の雪は
やがて   いつの日か
その願ひを叶えて戻ると云ふ


我は秘かに託す願ひ事を
《 雪薔薇への願い事 》
呼ぶものなり


雪の結晶が
白薔薇に似ていると思ふた幼い頃に
早春の頃に降る雪への願ひ事を
《 雪薔薇 》と呼び、空へと託せし
かつての、我が小さき両手を空へと


過ぎ去りし時の流れはあれども
暗闇の空に降る、早春の雪は
我が願ひ事を秘かに託す雪薔薇よ

我が心の両手を夜空の雪に託して
願ふものなり


早春の夜空に託す、雪薔薇よ
我が願ひ事を秘かに託す雪薔薇よ

毎年のように幾度も願ふ雪薔薇よ

空へ消える前に
我が願ひを空へと持ち帰りておくれ

雪が願ひを忘れぬうちに
早く空へと持ち帰りておくれ

我が願ひ事を秘かに託す雪薔薇に


■■【 詩作品の説明文 】■■

■ 詩作品内の【 雪薔薇 】とは、薔薇の花のことではありません。

私が幼少期の頃より【 ぼたん雪 】または、【 みぞれ 】などの早春の頃に降る雪のことを言った言葉です。

また、その雪が白薔薇に似ていたため、雪薔薇と私が名付けたものです。

いわゆる、幼い頃の私が名付けた【 造語 】が、雪薔薇と言います。

雪薔薇とは、早春の頃に降る雪は溶けて消えるのも早いため、願い事をすると、その願い事は忘れぬうちに空へと持ち帰ることがあり、やがて、いつの日か、それらの願い事を叶えて、願う人へと持ち帰ることがあると言う、民間信仰みたいな話によるものです。

また、これらの願い事は、積もる雪ではなくて、早春の頃に降る【 みぞれ 】や、【 ぼたん雪 】が願いを叶えると言います。

いわゆる、早春の頃に降る雪は溶けて消えるのも早いため、そんな【 民間信仰 】みたいな話があったのでしょう。

また、例えば不幸に見舞われたとしても、いつか一生懸命に生きていれば願いは叶うということで、明日への道標になったのかもしれません。

要するに【 いつか必ず幸せになれる、いつか必ず願いは叶う 】と、そう思いながら生きていくことが重要なのだと教えてくれるための、全ての人間への道標なのかもしれませんね。

そう思うと、人間は人生の中に真冬の寒い吹雪があろうとも、その暗闇の冬があるからこそ、やがてその先に春は訪れてくることを、決して忘れてはいけないのかもしれませんね。

四季は繰り返すように。
心の光と影が一対にあるように。
人の中にある季節時計は動くように。

人間が刻む季節時計の針は、ゆっくりと休みながら、巡り巡り季節時計は動くことを。

全ての光と影を一対にして。
全ての人間に、必ず光と影は一対にあるのですから。

■【 詩人/立原 純 】■

■【 作成日 】■
【 2018年2月23日《 金 》】



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by kazeumi-jun | 2018-02-23 00:06 | | Trackback




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詩【 真夜中の時計《 光と影 》】



街路樹が西の空に光を送り出せば
やがて真夜中の時を刻む時計が
静けさの中から声を荒げ始める

それが夜というものだ


季節は春を刻むとき
その真後ろでは張り付くように
冬の過ぎ去った時計が佇んでいる


誰かが言った
《 春を待つ君、と 》
《 春が苦手な、ボクは 》と

春には似合わないから
不必要だとでも決めつけるのかい?

必要であるかないかを決めるのは
君ではない
光と影一対あるように
どちらも必要なことなのさ

光に影が必要なように
影に光が必要なように


冬が嫌いなわけではない

それならば何故に冬を描くことが
少ないのかと尋ねる人がいる

すると返答するだろう

《 今いる人生そのもの長い歳月は
氷壁のある万年雪だからさ
誰だって、寒げな真冬に佇んでいれば
否が応でも春を待ち焦がれるだろう
だからさ
冬を描くことが少ないだけさ 》

光があれば、その裏には影ができる
それは当たり前の話だろう
光と影一対あって当然だろう


だからと言って
冬を嫌いなわけではない
冬があるからこそ春が訪れるもの
当たり前の話だろう?

待ち焦がれる春は憧れという光を放ち
その裏側には影ができる

どちらも同じ光と影の一対

この日本の季節は春夏秋冬とある
季節時計は動くものだからこそ
だからこそ、季節はいいのだと
だからこそ、四季折々は光を得る

過ぎ去り始めた寒風は
笑いながら、そう言うことだろう


それは光の空を西の空に
送り出した夜でさえも
そういって、笑い飛ばすことだろう

春を待ち焦がれ、待ちわびることは
悪いことではないのだと

人生そのものに長い歳月の冬が
そこにあれば
春を待ち焦がれるのもまた
光と影一対のものだろう

冬がそこにあるから
春を待ち焦がれているだけさ
光と影一対のように


きっと、夜の暗闇が   君の話を聞いて
そこで夜が光と影を映し出しては
笑い飛ばしていることだろう

大した問題ではないのに、わざわざ
複雑にして考えたりしないことだよと
真夜中の時計は笑い飛ばすことだろう

その話を聞いた傍らの
真夜中の時計は笑い飛ばすことだろう

暗闇の中で笑い飛ばすことだろう


光に影が必要なように
影に光が必要なように

光は影があるからこそ、光というのだ

むしろ、その光だけでは
人間は存在すらしないだろう


■【 作成日 】■
【 2018年2月22日《 木 》】



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by kazeumi-jun | 2018-02-22 03:00 | | Trackback




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詩【 芽吹き《 心で抱きしめる 》】



大地より出でたるものの合図あり

《 早春の芽吹きありゆへに
     春を迎え喜びの風を贈ろう 》

時を刻む季節時計の風が
微かな秘めやかさで声を放てば
瞬く間に   山裾の里では
合図の芽吹きバトンリレーは
次々と繋ぎゆくことだろう


冬の寒風は終わりに近づき
冷ややかさを伴う風が
土に眠る根を起こすことだろう


おゝ  小さき芽よ
早春の季節時計は動いたと
いち早く合図を受け止めて
君らは出でたるものと
我は視線だけの声をかけよう


旬な若葉色の葉に
新しく生まれた声に光を注ぐとき

その小さき芽吹きに
引きずられるように

大地より出でたるものの
芽吹きはありて
早春の時を刻む季節時計の針は
カチリと動きを始めたと
風は伝えてくるだろう

春を迎える風が行き交うことを


木々の視線は大地に向けられ
辺り一面に咲き始める草花と
芽吹いたばかりの、フキノトウの
微かな声に耳を傾けることだろう


そのとき、大地より出でたるものに
我が両腕を広げて
君らを心で抱きしめることだろう

君らの小さき芽吹きの息づかいの声を
秘めやかな息づかいの声を

我が両腕を広げて
君らを心で抱きしめることだろう


■【 作成日 】■
【 2018年2月21《 水 》】



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by kazeumi-jun | 2018-02-21 07:42 | | Trackback

詩【 幻覚の声灯り 】




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詩【 幻覚の声灯り 】



街路樹が微かに光る街灯りに沈み
夜の暗さに覆われる頃

無音ではない微かに行き交う車と
それまで聞こえなかった遠くの
音の波が重なり合い
静けさの中に集うとき
窓灯りは内側へと   こもり始める


一枚の壁が音を遮断しては
街路樹の世界を変えていく

昼間の空の異次元空間と室内が
まるで逆転現象したかのように


無音ではない夜の暗さの中に
微かな音を探せば
声のない街路樹と
冬風の揺れ動く硝子の音が
街路樹の絵柄を想像させている


声を忘れた、窓硝子の内側の世界で
無音に近い箱の中には
窓硝子にかけられた布が
街路樹の世界を遮断したまま
不必要な灯りはつき
意味のない声灯りのようにさへ
思うような室内


それまで別枠の異次元空間だった
昼間の空が逆転しては
こちら側の空間をつくりあげて

けれども箱の中には
無音に近い微かな生活音が
さも、外の異次元空間を移行して
つくりあげているように

静けさの街路樹は
どんなふうに見ているだろう


通りがかりの行き交う人でさへ
窓硝子の内側は知らぬふりで
過ぎていくことだろう

見えぬ別枠の異次元空間を

箱の中の微かな生活音が
不必要な声灯りを訝しげに
笑いすらも堪えているように

その街路樹からは見えぬ光景を


明々と灯された幻覚の声灯りとは
さも、蛍光灯に人の声が囲むように
映し出された幻想でもあるのだろう


窓硝子の内側では無音に近い中
幻覚に近い声灯りをつけて
静まり返る夜を飾り立てている

街路樹からは見えぬ別枠の世界を


こちらの窓硝子の内側では
幻覚に近い声灯りが夜を飾り立てる


こちらの窓硝子の内側では
幻覚に近い声灯りが夜を飾り立てる


■【 作成日 】■
【 2018年2月13日 】



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by kazeumi-jun | 2018-02-20 09:21 | | Trackback