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🌹物語【 ある森の物語《 湖水にて 》】
〜〜【 其の2 】〜〜
🔴【 ある森の物語《 森の娘 》 】続編



物語【 ある森の物語《 湖水にて 》】


其の森の奥へと繋がる道は《 お寺の山 》と呼ばれた山が入り口だった。
其の森への入り口は、まるでジャングルのようでもあり、小さな村に集まる野鳥の棲家となっているような森の奥へと、さらに繋がっていたのを記憶している。

森の奥へと侵入して、さらに山の中へ進んだ辺りで右手の森を下ると、其処には小さく開けた場所に小さな湖水はあった。

人里離れた森の傍らに静かに揺れる湖水の波が、奇妙に今までにない程の居心地の良さを実感する。

頭上で陽射しは当たり、湖水の周りで座り込むと身体の暖かさが感じられる。
幼い少女の【 私 】の傍らには見えない姿のままの誰かが、いつも声をかけており、稀に姿を見せたとき【 かたぐるま 】をしてくれていたはずだった。

その人こそが【 森の想い人 】と呼ぶ、森の娘であった私の想う人である。

また人里離れた森に住むけれど、稀に村へ降りると村の住人に追いかけられるということがあるせいか、稀に追いかけられた足取りは重くて仕方がないほどであり、殆ど森の中で其の【 森の想い人 】と二人で過ごしていた。

其の日は疲れていたせいか、陽射しの当たる湖水の傍らで眠り込んでしまった。

どのくらい眠り込んでいたのだろう?
気がつけば、誰の姿すら見えず声すら聞こえなかった。
いつも必ず傍らに居るはずの人が、其の気配すらないのである。常に傍らに【 森の想い人 】は居るのだと信じて疑わずにいたから、其の気配すらない事に異様な空間に居るような気さえした。

まるで、其の場所が異様な空間にさえ見えてしまい、私の身体に違和感すら感じて体半分が失われたような感覚に陥ってしまったのである。
まるで、其処に独りでいる自分の体が削り取られたような。
削り取られた半分の体が透明になったまま、自分の心まで消えて透明にでもなってしまったような気さえしてしまった。

周りを眺めると、いつもは森の木々の柔らかな風が吹いて傍らをくすぐる。
けれども、その日に限って森の木々は大きく揺らしながら遠吠えするごとくに、重々しく音鳴りをしている。

失われてしまった体半分は、心まで消えて透明にでもなったかのようになり、その《 居残る半分の小さな心 》だけが森の風の遠吠えらしき音に、酷い恐怖感を覚えてしまったのだ。
其のとき初めて、小さな胸に恐怖感が生まれた日である。

森の娘である私は【 いつも傍らに居る人 】が、一緒に居てこその一つの身体であり一つの心だと言えたのかもしれない。
其の【 彼という森の想い人 】が居てこその、森の娘であった。

いつも必ず傍らにいるはずの人が、傍らにいないという恐怖感に悲しさと淋しさが胸に襲いかかって来たところで、不思議はあるまい。
幼い少女の胸に襲う淋しさが、嫌という程に心を怯えさせていた。

『 ……私、ひとりぼっちだ。誰も居ないんだ。きっと、あの人は向こうに見える町へ行ってしまったんだ。この山よりも、あの町の方が良かったのかな。
私、きっと置いて行かれたんだ……。
向こうの町へ行きたい。きっと町へ行ったら逢えるかもしれない……追いかけて行こう。お兄ちゃんを追いかけて行こう……。』

姿なき人を想ってポロポロと涙が溢れそうで、遥か向こうの眼下に見える小さな町を眺める。
然し、小さな足取りでは見知らぬ町などへと行けるはずなどはない。
町へ行ったところで、何処を歩いたら出逢えるのかさえわかるはずはないのだ。

天涯孤独の幼い少女にとって、いつも傍らにいるはずの【 森の想い人 】だけが、其の心に温もりの両手を与えてくれる人だったのである。

幼い少女《 私 》にとっては、其の人の傍らこそが【 心の居場所 】だった。
かたぐるまをしては森を駆け巡り、見知らぬ歌を教えてくれ唄ってくれる。

幼い少女《 私 》の心にある想いも愛情の全てが、其の人自身ひとりだけにあったと言っていいだろう。
彼という森の想い人は、幼い少女の《 私 》にとっては血の繋がりすらない人だけれども、不思議なほど大切な【 森の想い人 】だった。

時折、森の想い人は透明な姿になることがある。不思議な能力を持つ人だった。
けれども、決して少女に声かけを忘れたことはなかったのである。

其れが。
湖水で目覚めてみると、其の【 森の想い人 】の姿も声すら聞こえなかった。

其のとき初めて森に住むことに恐怖感を覚えてしまい、其の【 森の想い人 】の姿が傍らには居ないことへの恐怖感と淋しさが生まれ、ひとりぼっちであることを実感し、尚且つ【 森の想い人 】が傍らに居ないという恐ろしさだけに、心の全てが襲われてしまったとも言えたのである。

其処には、一途なほどの【 森の想い人 】に対する幼い少女の全ての愛情があるからこその、様々な感情だった。

森の想い人が居ないという其れだけで恐怖感が襲いかかって、幼い少女は其のとき初めて【 心因性の記憶喪失 】を発症したのである。

其の瞬間、湖水の側で居座る自分が、まるで其処に独りでいる事すら違和感があり、其のとき何処に自分がいるのかさえも一瞬にしてわからなくなってしまった。
其れまでずっといたはずの森が、まるで見知らぬ場所であるかのような感覚に陥っていた。
其れが心因性の記憶喪失の発症だった。

其れからは、思い出してはまた記憶喪失になり、また思い出すことの繰り返しの長い歳月だった。

其れほどまでに、幼い少女にとっての【 彼という森の想い人 】は、其の心の全てだったからである。
其れほど【 森の想い人 】への想いも愛情もたっぷりあり、ひたすら森の想い人に対する一途の愛情だったからこそである。

彼という【 森の想い人 】は、幼い時から森の娘である私の心の全てだった。
其れも私にとって、ただ一つだけの愛情という心だった。
彼なくして私の心が成り立つことはない。其れが彼に対する深い愛情と言わずしてなんというのだろう。

湖水にて其の後、森の想い人の声かけで一時的に心を安定させて、また森の暮らしに戻ったのだろう。
だが、発症した心因性の記憶喪失の病気は少しずつ進行していくのである。

それは長い歳月をかけて病気は少しずつ進行し、其れでも湖水は森の映し絵のように、森の傍らで静かに揺れながらあったことを記憶喪失になりながらも、森と湖水だけは覚えていた。

やがて長い歳月を経て記憶喪失からのメッセージを受け取るかのように、微かに記憶が回復し始めたのである。

両手の指に残る【 肌の記憶 】である。
其れは森で、かたぐるまをしてくれた人の温かさと愛しさだった。
しっかりと両足を押さえて握りしめ《 かたぐるま 》をしてくれていた人の、肌の記憶である。
其処には、必ず其の【 森の想い人 】の愛しい姿のままにあった。

記憶喪失はわずかに回復は見え始めたけれども、やはりまたいつか森の想い人は姿を消してしまい、再び消えるのではないだろうかという、大きな恐怖感だけが残っている。

もう二度と離れたくない人だからこそ、そう思うのである。どうでもいい人なら、記憶喪失になっていても、其の意識の中に大切な存在としての【 肌記憶 】などありはしない。

森の娘である【 私 】の、忘れたくない人であり大切な存在だからこその、肌の記憶なのである。

其の【 肌記憶 】の人こそ、あの【 森の想い人 】だった。其処には一途なほどの想いと深い愛情があったからこそである。

遥か彼方の向こうで、今はなき森の暮らしはあり、二人だけで暮らした森があった。

其のとき【 森の娘と呼ばれた私 】は、今尚ひたすら一途に【 森の想い人 】を想って、あのとき傍らに居た森の想い人の行方を捜している。

森の娘と呼ばれた私《 ロザリナ 》が、一途に想う【 森の想い人 】と、いつか再びの再会を果たすことを願っているのだと心に囁く。
其れも遥か彼方の森を想いながら。

森の想い人は姿を消したまま、未だ其の行方すら知らないままで。
【 森の想い人 】よ、貴方は【 森の娘である私 】から離れたまま、地上の何処に居るのだろうか?

『 私《 ロザリナ 》は、いつも森の湖水のそばで座り込む私の傍らに貴方が居ては、どんなときでも必ず声をかけてくれた【 森の想い人 】である貴方だけに逢いたいのです。』


詩【 森の想い人への伝言 】

森の想い人よ
貴方は何処に居るのだろうか
手探りで出逢えた先の
あの日のように
また、貴方は離れてしまうの?

《 もう二度と貴方と離れたくない 》
その私の心を置き去りにしないでと
ひたすら願いながら
貴方の面影を抱きしめる

私は何処まで貴方を追いかけたら
貴方の声と姿を
抱きしめられるのだろう

心臓すら、既にもう病気になり
貴方を追いかけることすら叶わぬ
けれども、私が魂になっても
貴方への愛は変わらない

もしも、この私が逝った後でも
この魂に貴方を想う心を宿して
ひたすら、貴方を想い
ひたすら、その姿を追いかけて
貴方を遠くから眺めることだろう
そっと遠くから眺めることだろう

今尚、貴方を捜していると囁く
行方不明の貴方を想いながら
心に《 二人の森 》を想い浮かべて

【 森の娘/ロザリナ*ルシアン 】記


〜〜【 了 】〜〜



❤️ 物語【 森の物語《 湖水にて 》】
【 其の2 】

【 作成日 】
【 2019年12月8日《 日 》】

【 作者名 】
【 詩人/鏡乃 琴禰 】








🌹◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆🌹







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# by kazeumi-jun | 2019-12-10 03:36

🌹物語【 ある森の物語《 森の娘 》】
〜〜【 其の1 】〜〜



物語【 ある森の物語《 森の娘 》】


かつて二人で暮らした森があった。
森の暮らしは決して裕福ではなかったが、何よりも心が温もる暮らしだけが宝物ではあっただろう。

確かに街に出た後の生活は物には囲まれており、凍えるような冬の寒さに震えることもなく、まして冷たさ滲む身体を覆う着る物すらあったかもしれぬ。
けれども、身体を覆う暖かな洋服が幾らあったところで、空腹を満たす食べ物があったところで、果たして其れが幸福と呼べただろうか。

もしも、其の時の二人が街に出ることすらなく山奥にて暮らしていたら、森の娘と呼ばれた人間が、今のような【 心と体 】を二つに切り裂き分けるような病気にはならずに済んでいただろう。

かつての【 森の娘 】と呼ばれた娘が大人になり、どういう人生を歩むことになってしまったのか。
心はストレスを抱えて病気になり、果ては其のストレスにより心臓病まで発症して、今やまさに心臓病は重症化している。

【 森の娘 】と呼ばれた人間が、二人で暮らしていたはずの森を出たがっていたかというと、決してそうではなかった。
森を出ることを嫌がっていた。

二人で暮らしていたはずの森は既に遠くの果てになり、ベッドに寝込むだけの森の娘はひたすらあの頃の森に帰りたいと願ってはいても、既にもうあの森には誰も居ないのである。

二人で暮らしていたはずの森は既に遠く消えてしまい、もう記憶の中でしか存在してはいなかった。

ひたすら、森の娘はベッドの中で思いあぐねては泣く。
『 もしも、あのとき私が森を出たくないと嫌がっていたら、あのまま二人で森の中に暮らしていただろう。
私は街になど出たくはなかった。
二人で森の中に住んでいたかった。』

現にそう、もしもあのまま森に二人で暮らしていたら、この街の片隅に独りで住んでいる事にはならなかっただろうし、心と体が対応できず切り裂かれる程の病気にはならなかっただろう。

確かに物には囲まれている。
食事をすることすら困らず、着る物すら困らず、物には囲まれ裕福な暮らしではあるが、どれほどの洋服や食べ物があったところで森の娘は幸せではなかった。

物に囲まれていても食事をすることには困らずにあっても、森に住んでいた時はいつも必ず二人は一緒にいたのである。

この部屋のベッドに独りで寝込む。
一緒にいたはずの人はいない。
まるで、森に共に消えてしまったかのように姿さえなかった。
果たして。
そんな街に住み、物に囲まれて裕福な暮らしがあっても、森に住んでいた頃は淋しさなど感じた事すらなかったのだ。

幾ら街中にある便利な暮らしや、便利な物や暖かな洋服や裕福な生活があっても、森の娘はそんな食べ物すら美味しいと思ったことなど、一度たりともなかったのである。

不便さだけがある森の暮らしであっても、雪大根を丸ごと齧るような生活であっても、あの頃の雪大根を丸ごと齧る方がどれほど美味しいと感じただろう。

便利さだけがある街中の生活など、森の娘は嫌いだったことを誰もが知らないのである。
森から出た後、森の澄んだ空気や温もる暮らしは全て失われてしまい、森の娘の身体を病気が蝕んでいたことを誰もが知らなかった。

森に住んで居た時の、傍らにいたはずの人でさえも、そんな事は予測はしなかっただろう。

街中は確かに便利さだけがあり、今や便利な機械は街に溢れていて、食べようと思えば何でも食べ物さえあるが、森の娘は食べたいという気持ちが全く失われ、まして既に心が食べ物の味を全くわからなくなってしまった。

森の娘が、其れらの街に溢れている便利な機械すらも喜んでいただろうか?
いや、森の娘は其の便利な機械すらも大嫌いであったことすら、誰もが知らなかっただろう。

森が大好きであったからこそ、森の娘は命が救われていたのである。
森の娘の身体は、其の【 森から得るエネルギー 】こそが、森の娘の命を繋ぐ為のものであったことを、森の娘本人だけが知っていた。

だからこそ、森から出たら命は失われゆくことを知っていて、森から出る事を嫌がったのである。
森の娘は、森から得るエネルギーこそが体内の命を繋ぐ為のものになるのだ。

森から充分なエネルギーを得られなくなってしまった娘の体は次第に破壊されていき、森から得るエネルギーは減る一方だったのである。

そう。森の娘はそういう特別な体を持っていたことを、娘本人だけしか知らず、他の誰もが知らなかった。

やがて街に住んだ森の娘は、いつの間にか食べ物が美味しいと思う感情は無くなり、其れを森の娘は口に出すことは決してなかった。
全ては心に封印したまま。
全ての感情を封印したまま。

【 孤独 】という感情は、全ての感情と感覚を破壊してしまったのである。
森に住んでいた頃、必ず傍らにいた人はいないのである。
其の孤独さが、全ての感覚や感情すらも破壊してしまい、其の結果が心臓病となり、既にもう寝たきりの姿と変えていた。

あのとき森の娘は、森を出たくなどなかったのである。
傍らにいた人の言葉に従って森から出たが、あのとき【 嫌だ嫌だ、やっぱり森を出たくない!!】と言い張れば良かったのかもしれないと、森の娘は死の間際の今や後悔ばかりが心に浮かんで来る。

既にもう寝たきりになった森の娘は、其の心臓病は悪化して末期状態だった。
変わり果てた姿だった。

街に出た後の森の娘の暮らしは、まさに波乱万丈すぎて幸福とは無縁な生活だけがあり、まして独りぼっちだけの孤独な毎日だったのである。

森の娘は、ひたすら森に帰りたいと願っていた。けれども、其のかつての森には今や誰も居ないのである。
あの森に住んでいた頃、必ず傍らに居たはずの人はいない。

記憶の中にだけしかない森となる。
かつて、二人だけで暮らしていた森があった。
どんな時も、いつも二人で一緒にいた。
あの頃、二人だけで暮らした森は何処に消えてしまったのだろう。

遥か遠くにいる離れた人を想って、かつての記憶の森に落ちていた木の実が一つ、森の娘の心に宿されている其れらが、見えない枯葉に埋もれては雨粒ともつかぬ雫が滴り落ちていることを誰が知るのだろうか。

森の娘は逢えぬ遠き人を想って。
森の娘は手すら届かぬ遠き人を想って、其の心に宿る木の実から滴り落ちる冬の寒さに震えながら、消えることがない滲む一滴と凍えるような悲しさを抱えて。


詩 【 伝言 】

森の木の実よ
せめて、其の木の実の肌に
雪が降るときは
其の肌に染み込ませた想いを
閉じ込めておいておくれ

いつか我が身代わりになり
一緒に居たかったという声と、
あの人への想いを
伝えておくれだろうか?

そうして雪に埋もれし時は
我が悲しみの涙を
雪の中に混ぜ込み溶かしておくれ

魂となった我が視線が見たら
きっと悲しみのあまり
魂の心が潰れてしまうだろうから

逢えぬと知りつつ逢いたさを
其の心がわかるならば

森の木の実よ
かつて森の娘と呼ばれし
我が切なる想いを
其の木の実の肌に閉じ込めて
遠く離れている我が愛しき人へ
いつか伝えておくれ

《 ずっと変わらず愛していると
変わらずに、いつも
一眼なりとも逢いたい想いを
我が魂の先までも伝えたい 》と

森の木の実一滴の雫に
我が心と悲しき涙を託そう


【 了 】



❤️ 物語【 ある森の物語《 森の娘 》】
【 其の1 】

【 作成日 】
【 2019年12月6日《 金 》】

【 作者名 】
【 詩人/鏡乃 琴禰 】





🌹【 Fou you. 】❤️

My love is only for you.

I swear forever on my love for you.

You are my love.

🌹【 From me to you. 】

*****

日本語の訳【 あなたへ。】

私の愛は 貴方だけのためにあります。
貴方との愛を永遠に誓います。
私の大切な人は貴方です。

【 私から貴方へ。】



My love is only for you.
【 私の愛は 貴方だけのためにあります。】


You are my love
【 私の大切な人は貴方です。】



🌹【 from me to you. 】
【 私から貴方へ。】










🌹◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆🌹



















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# by kazeumi-jun | 2019-12-10 03:34

🌹 詩集【 森の暦 】

🌹 詩集【 森の暦 】



① 詩【 森の想ひ人へ 】《 伝言 》

想ふ愛が一つだけ持てれば良きゆへ
心に滲ませ浸透した森の想ひ人よ

傍らで包まれし両手こそが
想ふ愛をも包み込まれ
共に想ふ愛をも包み込むように
一枚絵図となりて
やがては季節暦がいにしへまでも
想ひを繋ぐ愛の糸にならんことを

願わくば
いつか繋いだ手のひらが
早う季節暦の上に重なるよう
二人で奏でる冬の物語の上に

我が愛しき《 森の想ひ人 》よ

【 2019年12月7日《 土 》】
🌹◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆🌹

② 詩【 森の想ひ花 】

淡い雪の花弁が咲いたという知らせ
程なく溶けてしまうとは思へども
心に咲きし花は枯れはせぬ
冬の物語が生みし想ひ花よ

ひとたび逢おうものなら
我が腕に寄せし、愛しき人の面影と
肌に滲ませる想ひ花の艶やかさを
伝えたきと想ふ、森の想ひ花は

森の想ひ人へと向けて放つ声ぞ

【 2019年12月7日《 土 》】
🌹◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆🌹

③ 詩【 森の花弁《 花びら 》】

森に小さな花が咲く淡い雪の花弁が
其れらが溶けてしまふ前に
どうか眺めておくれと
小さな一滴から滲む声がするゆへ

足を運ぶ人の秘めやかな音鳴り
森に咲きし雪の花弁の無言歌

【 2019年12月7日《 土 》】
🌹◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆🌹

④ 詩【 想ひの糸に 】

その都度その都度
相手に想ひは伝えてこその想ひ
伝えたつもりで抱えていても
それを伝えることが想ふことの意味
心は繊細な折り紙のようなもの
声とが集う時間は今という時の中で

その時という今が集う場所で
想ひを繋ぐ愛の糸に

その都度その都度に
貴方へ想ひを伝えることが
お互いの今を繋ぐ愛の手
お互いの今を繋ぐ想ひという手

声とが集う時間は今という時の中で

【 2019年12月7日《 土 》】
🌹◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆🌹

⑤ 詩【 タカラモノ 】

不思議でしょう?
貴方だけが私の傍らに居れば
其れで全てが満足なんだから

私の傍らに貴方だけが居て
握りしめた両手があれば
心は温かくて笑っていられる

きっと私はタカラモノの貴方の心を
抱きしめていることと
抱きしめられている幸せを
わかるからだと思うの

それ以外に何が必要かしら?
私にはタカラモノは一つだけでいい

【 2019年12月8日《 日 》】
🌹◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆🌹

⑥ 詩【 小さな夢 】

もしも、貴方が夜にお酒を飲んで
うたた寝をしたら
私はそっと貴方に毛布を掛けるの

それで、其のすぐ傍らに
大きなクッションを持って来て
貴方の真横でうたた寝をするのよ

貴方のすぐ真横で毛布を掛けて
貴方と同じように、うたた寝するの
貴方の顔を見ながらね

そのとき私の心が喜んでると思うわ
貴方の傍らに居られることが

それが私の小さな夢
そんな、ささやかな夢があっても
すごくステキじゃない?

夢はいつも貴方の傍らにあるから
貴方が居てこその私の夢だもの

【 2019年12月8日《 日 》】
🌹◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆🌹

⑦ 詩【 寒い冬の夜に 】

寒い冬の夜に二人で
何気ない会話を出来ることが
一番の幸せになるんだよね

其処にあるのは
愛する者同士の温もる暮らしと
当たり前にあるという大切さと
私の傍らに居る貴方の声と顔こそが
心へのぬくもりと最高の心の豊かさ

寒い冬の夜に
そっと貴方に
《 ありがとう 》と囁くとき

【 2019年12月8日《 日 》】
🌹◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆🌹














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# by kazeumi-jun | 2019-12-10 03:26

【 冬の詩 】ロザリナ*ルシアン作品


①【 動かぬ時計 】
《 冬の日常的な病い 》

冬窓の曇り空と云ふけれど
閉めたままのカーテン内側
布を透き通る寒さわかれど
枕に寝付く身に見えはせぬ

開け放つ事は体を悪化せし
それとは知れども会話なき
部屋の我の声は何処ぞまで
流ると独り病に伏した冬空

枕に寝付く身の傍らにあり
冬の毛糸の編み物あれども
我の物を編む事の寂しさよ
誰ぞが知るやら冬の日常に

ただ時間の流れ待つのみと
無言の時計を傍らにありて
毛糸は暇潰しのものならば
独り呟く冬窓の部屋の隅で

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

②【 沈黙の時計 】
《 我の日常的な声語り 】

閉じこもりし部屋にありし
無言の冬毛糸は何も語らず
声は宙を浮き上がりゆくも
言葉は我の心に返りしもの

流るはずの時すらも流れず
冬窓に己の声を放つけれど
寝付く身に冬窓は閉ざされ
独り語る声の長さだけあり

己を振り返る時間のみあり
声は宙を浮き上がりゆくも
誰もが云ふ事は同じ声語り
流る時は幸せと云ふけれど

独り呟く冬窓に何が幸せと
声を語りても閉ざされた窓
見えぬ姿の透明に誰がいる
ただ己を振り返る時の長さ

**

独り寝付く身の傍らに
視線の先に誰ぞがいるわけではなし
君の語る声の主さへありはせぬ
君よと問いかけれど声は宙に
浮き上がりゆき時は流るる寂しさよ
寝付く身に、変わらず冬窓の向こう
秘かな声語りは流れて消える冬ありて
かの人に囁けども耳に聞こえぬ
この耳には聞こえぬ秘めやかな声語り

冬窓に寝付く身の傍らに
君の姿なきことを知る

沈黙の時間だけが長きにわたり
ありし我にとっては
寝付く身の傍らに漂う沈黙の時計

沈黙の時間のみありし我には
そんな沈黙の時計などいりはせぬ

長きにわたり寝付く身の傍らに
ひたすら己を振り返るだけの沈黙の時計

もう、そんな沈黙の時間のみなど
我は欲しくはなきと思えども
ひたすら、沈黙の時間だけが
病に伏し寝付く我の住まい人

我の寂しさに沈黙の時間だけが
冬窓の隅に居座る

我の傍らには
ひたすら、沈黙の時間だけが
冬窓の隅に居座る部屋の中で

長きにわたり寝付く病に伏した身に
居座り続ける、沈黙の時計

ひたすら、居座り続ける沈黙の時間

もう沈黙の時などいらぬと叫べども
居座り続ける沈黙の時計
その悲しさよ

我の寂しさに沈黙の時間だけが
冬窓の隅に居座る病に伏した身の傍らに


もう沈黙の時などいらぬと叫べども
居座り続ける沈黙の時計
その悲しさよ



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
















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# by kazeumi-jun | 2019-12-10 03:12

🌹【 詩集/冬想歌 * ラスト 】



🌹【 詩集/冬想歌*ラスト 】
🌹 詩【 待ちて冬想歌 】①から⑧


この【 待ちて冬想歌 】という詩は、あくまでも己の為の願い歌です。
願い歌という詩です。
これらの詩集を、ネットなどや外へ投稿する気などは全くありません。

【 貴方にラストの声語りを描いて。
貴方には私に対しての、約束通りの誠実さを望みます。
貴方の約束通りの誠実さとは、貴方が私に対して言った言葉通りの行動を行ない、其れを私にきちんと示して下さり、其の上で貴方を待っています。
其れが、命懸けで待つ人へ見せる、貴方からの誠実な態度だと私は思います。

其れがなくては、貴方からの誠実さのある行動とは思えないのです。
意味がお分かりでしょう。
私と再会する前に、貴方からの誠実な態度をお待ちしています。
其の上で、私は命がある限りは貴方を待っています。
今なお、約束が実行されない貴方とはまだお会いは出来ません。
いつか、貴方が私に対して言った通りの約束を守って下さることを願います。

貴方からの約束が実行されない時は、私は貴方とは逢わないまま、心臓病悪化により、其のまま《 あの世 》とやらに独りで逝くことになるでしょう。

未だなお【 ネット住人 】のままの状態でいる貴方とは、遥か昔の【 貴方との再会/紅き葉の約束 】などの、二人の約束を果たすことは、私には出来ません。
貴方が今の【 ネット住人 】を辞めて下さると私に告げた約束を果たしたうえで、私は貴方をお待ちしております。
貴方が其の約束を守って下さることをお待ちします。

この、私の心臓病の命があるうちは、お待ちしています。
あまりこの先、永いことお待ちは出来ないと、病状悪化などの状態の判断により、この詩集を描いておきました。

幼い時から知る貴方へと向かって。
幼い頃、私を《 かたぐるまをして下さった人 》へ。

もしも逢えなかったら、最期に。
冬の雪大根をありがとう。
あのとき私は命拾いして、まして血の繋がりがあるわけでもなく、その上、大切に育てて下さり、私を助けて下さった時の事にも感謝を込めて。
あの長野県の《 お寺の山奥 》で愛情深く私を育てて下さり、ありがとうございます。
そのときの幼い私は帰る家も場所すらなく、その幼い私を山奥にて育てて下さった事は、私にとって死ぬまで生涯のゆういつ一つだけの宝物です。
ありがとうございます。
山奥で暮らした幼い頃の話は、未だに誰にも話してはいませんが、私にとっては山奥で暮らした時が一番の幸福だったと、今でもそう思っています。
かたぐるまの上での温かさを忘れた事は、一度たりともありません。
心に刻みついています。

東京*池袋の街の、細い路地裏の道の片隅で貴方は私を助けて下さり、その時も私は命拾いをしました。夜の仕事をしていた時の話です。
幾度も幾度も、私の命を助けて下さり、ありがとうございます。
深く感謝を込めて。ありがとう。
もしも、貴方に再会できず逝くことになったら、ごめんなさいね。
幼い頃の《 紅き葉の約束 》を私は憶えています。
ありがとうございます。
感謝を込めて。

いつだったのか、東京の上野にある西洋美術館に私が独りで観に行った時、貴方を見かけました。
貴方は憶えているでしょうか。
追いかけようとしましたが、私は足が不自由なため松葉杖であり、貴方を追いかける事は出来ず見失ってしまいました。
その貴方に、このラスト詩集を記しておきたいと思います。
ありがとうございます。感謝を込めて。

最後に重ねて。
長野県の山奥にて、私を愛情深く育てて下さりありがとうございます。
今の私があるのは、貴方のおかげだと思っています。
貴方より先に逝くことになったら、ごめんなさい。
私の心臓病は日に日に悪化しており、この厳しい冬の寒さに、既にもう体が対応できません。
ですから、万が一の場合を兼ねてラスト文章を記すことにいたしました。
ここに、最後のラスト文章として記しておきます。】

🌹 詩人/鏡乃 琴禰
【 水沢 葉司さまへ。】
【 村上 みさこ/大塚 みさこ 】から。

【 2019年12月1日《 日 》】記
朝8時06分にて。








🌹◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆🌹












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# by kazeumi-jun | 2019-12-10 03:10